昇進した途端、
態度が変わる人を見たことはないでしょうか。
部下ができた途端、急に偉そうになる。
経験を積んだ途端、人の意見を聞かなくなる。
本人に悪気はないことがほとんどです。
でも、周りは確実に気づいています。
今日は、成長と謙虚さの関係について整理します。
謙虚さが崩れるのは「悪意」ではなく「慣れ」
役職が上がる。
収入が上がる。
経験や実績が積み上がる。
これ自体は、望ましい成長です。
問題は、そこに人としての
成熟が追いつかないときに起きます。
役職が上がれば、指示する機会が増える。
経験が増えれば、
「自分のやり方」への自信が増す。
それ自体は自然なことです。
でも、この状態が続くと、
「自分の判断が正しい」という感覚が、
無自覚に強くなっていきます。
悪意ではなく、慣れからくるものです。
だからこそ、自覚しないと止まりません。
謙虚さは弱さではなく、成長を支える土台
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
という言葉があります。
稲穂は実れば実るほど、重みで頭を下げる。
人も同じで、成長するほど謙虚になる、
という意味です。
ここで誤解しやすいのが、
謙虚さと堂々とすることは矛盾しない、
という点です。
立場が上がれば、
威厳や風格が求められる場面も出てきます。
それ自体は必要なことです。
でも、堂々とすることと、
偉そうにすることは別物です。
堂々としながら、人の話を聞ける。
自信を持ちながら、人に頭を下げられる。
この両立ができるかどうかが、
本当の意味での成長だと思っています。
トップこそ、謙虚さが問われる
経営者は、組織の中で最も
経験も知識も立場も
上になりやすいポジションです。
だからこそ、謙虚さを失うリスクも一番大きい。
京セラを創業し、
JALの再建でも知られる稲盛和夫氏は、
「謙虚にして驕らず」を経営哲学の核に
置いていたことで知られています。
経営者としての実績や地位が
どれだけ積み上がっても、
その姿勢を崩さなかったからこそ、
多くの人がついていったのだと思います。
ジム・コリンズも
『ビジョナリー・カンパニー2』の中で、
偉大な企業を率いたリーダーには、
強い意志と極端な謙虚さが同居していた、
という調査結果を紹介しています。
「自分が一番できる」ではなく、
「自分にできないことを、誰かが持っている」
と考えられるかどうか。
僕自身、成長し続けたい
という意識を持つのと同時に、
自分ひとりの力ではどうにもならないことの多さ、
無力さに気づく日々です。
自分だけでできることは、本当に少ない。
毎日、誰かに助けてもらいながら
仕事をしています。
謙虚な姿勢があれば、
経験の浅いスタッフの中にも、
自分より優れている部分に気づくことができます。
若手のほうが、
新しいツールに詳しいかもしれない。
現場に近いスタッフのほうが、
顧客の本音を知っているかもしれない。
それぞれの強みに気づき、尊重し、活かす。
これが、強みを活かす経営につながっていきます。
謙虚さは、上から下への話だけではない
でも、謙虚さが崩れるのは、
役職が上の人間だけではありません。
経験を積んだスタッフが、
慣れから上司や組織のやり方に対して、
不満を抱いたり、
場合によっては反発的になることも
同じ構造の中にあります。
役職の上下に関係なく、
経験を積むほど、誰もが陥りうる罠です。
そもそも、役職があっても、
人として上下はありません。
上司は部下の経験や視点を尊重し、
部下は上司や組織が
積み重ねてきたものを尊重する。
これは対等な人間同士の関係です。
ただし、ここは少し誤解してほしくないのですが、
組織としての仕組みは、別の話です。
何でもフラットに、誰もが誰にでも直接話せる、
というだけでは指示系統や役割分担が曖昧になり、
かえって組織は動きにくくなります。
仕組みとしての役割分担があるからこそ、
組織は機能します。
人として対等であることと、
役割として上下があることは、矛盾しません。
この二つを混同すると、
「謙虚だから、なんでもフラットに」
という誤解につながってしまいます。
大事なのは、
役割上の上下を保ちながら、
人としては対等に接すること。
この感覚が、組織全体の謙虚さをつくります。
経験は誇るものではなく、活かすもの
成長すれば、経験も知識も
立場も上がっていきます。
それ自体は、悪いことではありません。
でも、その経験を「誇るための材料」にするか、
「人を活かすための材料」にするかで、
組織の未来は大きく変わります。
僕自身、まだまだ至らないことばかりです。
それでも、一人でできることの
少なさに気づくたびに、
周りへの感謝と敬意が増えていく感覚があります。
今日、意識してみてほしいことがあります。
自分より立場が下の人、経験が浅い人の中に、
自分にはない強みがないかを探してみてください。
きっと一つは見つかります。
その積み重ねが、
みんなが尊敬し合える組織をつくっていきます。
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