「AIに仕事を奪われる」は、半分正しくて半分間違い

先日、マネーフォワードの
イベントに行ってきました。
会場を回って驚いたのは、
どのブースもAI一色だったことです。
これまで人が手を動かしていた作業も、
頭を使っていた分析も。
そのすべてを、AIが担う前提になっていました。
僕は毎日WBSを見ていますが、
AIの話題が出ない日は、ほとんどありません。
少し前までは「たまに特集される話題」
だったものが、
今は毎日の経済ニュースの一部になっている。
もう「AIをやるか、やらないか」の段階ではない。
そう感じています。

「AIに仕事を奪われる」は半分正しい

「AIに仕事を奪われる」
よく聞く言葉です。
半分は正しいと思います。
AIが代わりにできる作業は、確実に増えています。
でも、実際に起きるのは少し違う形です。
AIが直接、仕事を奪うわけではありません。
AIを使いこなす会社が、
使わない会社の仕事を奪っていく。

実際に起きるのは、こういう形です。
同じ人数、同じ時間。
それでも、こなせる仕事の量と質が変わる。
その差は、お客様から見れば
価格、スピード、提案力の差として表れます。
しかも、この差は目立ちません。
ある日突然負けるのではなく、
気づいたら少しずつ選ばれなくなっている。
ここが一番怖いところです。

ネットやスマホのときも、同じことが起きた

振り返ると、こうした変化は
初めてではありません。
インターネットが広がり始めたころ、
メールやホームページを
「うちには関係ない」と考えた
会社も多くありました。
でも、その後どうなったか。
旅行の予約は、窓口からネットへ。
本や日用品の買い物も、店頭からネット通販へ。
仕事を奪ったのは
インターネットそのものではなく、
インターネットを使いこなした会社でした。
携帯電話も同じです。
日本では1999年にiモードが始まり、
携帯でネットが使える環境が
早くから整っていました。
各社が独自のサービスを作り込み、
当時としては世界の先を行っていたと思います。
でも、2008年にiPhoneが日本に上陸すると、
流れは一気にスマホへ移りました。
誰もが同じ土台の上でアプリを使える世界に、
作り込んだ独自の仕組みは
置き換えられていきました。
技術が変わるとき、
差がつくのは
変化に乗った側と、乗らなかった側です。
AIでも、同じことが起きようとしています。

作るより、使いこなす

iモードの話は、今のAIにもそのまま重なります。
最近聞いた話で、
印象に残っているものがあります。
ある会社が、自社専用の
AIシステムの開発を検討していました。
ところが、検討を進めている間に、
誰でも使える汎用AIの方がどんどん進化しました。
作り込んでいる間に、既製品が追い越していく。
結局、開発は断念したそうです。
勝負は「作る」ことではなく、「使いこなす」こと。
でも、本質はもう一歩先にあります。
本質は、ツールではなく「何のために使うか」です。
どのAIを選ぶか、どう導入するか。
つい、そこに目が行きがちです。
でも、目的がないまま始めると、
「便利そうだから触ってみた」
で終わってしまいます。

AI活用の目的を、事務所の目標につなげる

うちの事務所には、目指している姿があります。
圧倒的な利益を出し、
一人ひとりに最大限還元する
こと。
人件費は削るものではなく、還元するもの。
そう考えています。
AIは、この目標のための手段です。
人を減らすためではありません。
一人ひとりの生産性を上げて、
その分をきちんと還元するために使う。
目的がここにあると、
組織にとってAIは「仕事を奪うもの」ではなく、
「自分たちの働き方と待遇を良くするもの」
になります。
そのために、事務所ではAI推進委員を置きました。
外部の専門家とも連携しています。
全部を自分たちでやろうとはしていません。
進化の速い分野だからこそ、
詳しい人の力を借りた方が早いからです。
ただ、目標に対してはまだ道半ばです。
少人数で回し、最大限還元する。
その姿には、まだ届いていません。
それでも目的がはっきりしているから、
何から手をつけるべきかは見えています。

簡単なところから始めて、まず慣れる

では、実際に何をしているか。
例えば、面談の文字起こしから議事録を作ること。
お客様との面談を文字起こしして、
AIに議事録としてまとめてもらっています。
派手な使い方ではありません。
でも、大事なのはここです。
いきなり大きな効率化を狙わない。
まずは簡単な部分から始めて、AIに慣れる。
一度慣れると、
「これもできるのでは」
と使い道が自然に広がります。
小さな効率化が積み重なって、
少しずつ仕事の形が変わっていく。
そして、これからは
AIにできないことは、
ほとんどない時代
になっていくと思います。
今は文章や資料、データの処理が中心ですが、
ロボットのように
現実の世界で動くフィジカルAIも、
すぐそこまで来ています。
画面の中だけでなく、
現場の作業にもAIが入ってくる。
そうなったとき、差がつくのは
「AIを知っているかどうか」ではなく、
「AIに慣れているかどうか」です。
議事録は、その入口にすぎません。

まずは一つ、AIに任せてみる

大きな会社は、AIの導入にも稟議があり、
検証があり、時間がかかります。
中小企業は違います。
明日から変わることも可能です。
この意思決定の速さは、AI時代の大きな武器です。
まずは一つ、自分の仕事を
AIに任せてみてください。
会議の議事録でも、
メールの下書きでも構いません。
使ってみること。
そして、何のために使うのかを考えること。
AIに仕事を奪われるかどうかは、
AIではなく、使う側が決めます。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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