「身の丈に合ったことをしろ」その言葉に甘えていませんか?

背伸びして、痛い目を見たことがあります。
うまくいかなかったとき、周りから言われました。
「身の丈に合ったことをしないから」と。
その言葉は、刺さりました。 反省もしました。
でも今は、少し違う見方をしています。
問題は背伸びしたことではなく、
準備と計画が足りなかったことだった
、と。

「身の丈論」はなぜ生まれたのか

身の丈に合ったことをしろ、という考え方は、
ある時代においては正解でした。
大量生産の時代、工場や製造業では、
決められた手順を守ることが品質につながった。
逸脱しないことが美徳だった。
軍隊や大きな組織でも同じです。
秩序を維持するために、 個人が勝手に動かないことが求められた。
その文脈では、身の丈に合った行動は正しい選択でした。
でも今は違います。
変化が速く、正解が一つではない時代に、
「逸脱しないこと」を美徳にしていたら、何も変わらりません。

「背伸びしたから失敗した」は本当か

背伸びして失敗すると、こう解釈されます。
「分不相応なことをするから失敗するんだ」と。
でも、それは後付けの解釈であることが多いです。
失敗の本質を丁寧に見ると、たいていこうです。
目標が曖昧だった。
計画が甘かった。
準備が足りなかった。

背伸びしたこと自体が問題なのではなく、
背伸びの中身が雑だっただけ。
夢や目標が明確であれば、背伸びは無謀ではなくなります。
「今の自分には無理」ではなく、
「そこに辿り着くために今何をするか」という逆算になる。
背伸びを正当化したいわけではありません。
ただ、失敗の原因を「背伸び」に帰着させると、
次のチャレンジまで諦めることになります

そこが本当の怖さです。

レベルの高い環境に身を置くと、人は適応しようとする

学生時代によく聞いた話をします。
「レベルの高いところでギリギリより、
身の丈に合ったところで上位にいた方がいい」
という考え方があります。
気持ちはわかります。
でも、僕は一貫して、少し背伸びした環境を選んできました
結果、ギリギリのことも多かった。
大変だったことも正直あります。
ただ、そこで得た経験と人脈は、今も確実に生きています。
そして気づいたことがあります。
高い環境に放り込まれると、人は本能的に適応しようとします。
「周りに合わせなければ」という感覚が、自然と動き出す。
これは意志の力ではなく、環境の力です。
身の丈に合った場所に居続けると、 この適応の本能が発動しません。
成長のスイッチが入らないまま、時間が過ぎていきます。
だから今も、事務所の環境づくりは意識しています。
スタッフが「ここで働きたい」と思える場所にしたい。
外部の方をお招きしても、恥ずかしくない空間でありたい。
環境に引っ張られて、人は動きます。
それは、自分自身で経験してきたことなので。

器を先に用意した

開業するとき、顧客はゼロでした。
自宅で始めれば、コストはほぼかかりません。
それでも、都心に事務所を構えることにしました。
その後、2回移転しています。
どちらも、そのとき必要な広さより、
少し大きいところを選びました

家賃も、背伸びした金額でした。
でも、その器に合わせる形で、事務所は成長してきました。
一つ、気づいたことがあります。
狭い事務所にいると、採用しようという発想すら出てきません。
スペースがないから、人を増やすイメージが持てません。
器が小さいと、考えの上限も小さくなります。
先に器を用意することで、「この空間を埋めるにはどうするか」
という思考が生まれました。
環境が、戦略を引き出してくれたのです。

背伸びが機能する条件

何でもかんでも背伸びすればいい、という話ではありません。
0.5歩先が適切。2歩先は無謀。
この感覚が大事だと思っています。
機能する背伸びには、条件があります。

  • 目標や方向性が明確にあること
  • 準備と計画がある程度できていること
  • 環境に適応しようとする覚悟があること

この三つが揃ったとき、背伸びは成長の燃料になります。
逆に、なんとなく背伸びしたり、
勢いだけで動いたりすると、ただの無謀になる。
そこは冷静でいたいところです。

「身の丈論」の正しい使い方

身の丈に合ったことをしろ、という言葉自体は間違っていません。
戒めとして使うなら、正しい言葉です。
調子に乗りすぎていないか。
準備が足りていないまま動いていないか。
そういう場面で自分を引き戻すために使うなら、機能します。
問題は、言い訳として使い始めたときです。
「身の丈に合わないから、やらない」
「今の自分には早い」
「もう少し準備が整ってから」
この使い方になった瞬間、
身の丈論は成長を止めるブレーキになります。
僕自身、まだここはできているとは言えません。
迷ったとき、怖さを「慎重さ」と言い換えていることがある。
それが本当の慎重さなのか、ただの先送りなのか。
その問いを持ち続けることが、たぶん大事なんだと思っています。

その言葉は、戒めか言い訳か

身の丈に合ったことをしろ。
この言葉を、最近誰かに言いましたか。
あるいは、自分に言いましたか。
そのとき、それは相手への誠実なアドバイスだったか。
それとも、チャレンジしない自分への言い訳だったか。
一度だけ、問い直してみてください。
環境は、自分で選べます。
器は、先に用意できます。
背伸びの中身を丁寧にすることも、できます。
身の丈に「合わせる」のではなく、
身の丈を「更新していく」感覚で動いてみる。
それだけで、見えてくる景色は変わると思っています。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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