勉強しても伸びない組織は、設計を間違えている

「勉強しているのに、なかなか伸びない」
そういう場面をよく見ます。
本人はやる気がないわけじゃない。
時間もそれなりに使っている。
でも、結果が出ない。
僕自身も、ずっとそうでした。
税理士試験をはじめ、今まで色々な勉強をしてきました。
結果が出なかったことの方が、圧倒的に多い。
税理士という仕事をしていると、
順風満帆に見られることがあります。
でも、全然そんなことはありません。
ただ、うまくいったときには共通点がありました。
「何を・どうやって・いつやるか」が決まっていたときです。
勉強量の問題ではなく、設計の問題でした。

勉強するだけは、実は簡単

テキストを開いて、問題を解く。
やろうと思えば、誰でも始められます。
税理士試験の勉強をしていたとき、
とにかく量をこなせばいいと思っていた時期がありました。
時間をかけて、問題を解いて、また解く。
でも、点数はなかなか上がりませんでした。
原因は明確でした。
何を優先すべきかが決まっていなかったのです。
試験範囲は広い。
全部やろうとすると、どこも中途半端になる。
出やすいところに絞る。苦手なところに集中する。
この判断が抜けたまま、ただ量をこなしていました。
やる気は必要です。時間も必要です。
ただ、やる気と時間だけでは足りない
何をやるべきかが決まっていなければ、
どれだけ時間を使っても空回りします。
これは勉強に限らず、仕事でも育成でも、まったく同じ構造です。

設計とは、三つを決めること

「あとはやるだけ」の状態を作ること。
これが設計の目的です。
やるべきことが明確になっていれば、人は動けます。
動かない原因のほとんどは、設計がないまま始めていることです。
ただ、「やるだけ」の状態を求めている人は、組織の中で伸び止まります。 指示された通りにこなすことはできる。
でも、そこから先がない。
設計を自分でできる人間を育てることが、組織としての本当のゴールです。
設計で決めるべきことは、シンプルに三つです。

何を学ぶか
ゴールから逆算して、今必要なことを絞る。
全部やろうとしない。優先順位をつける。

・どうやってやるか
テキストなのか、実務で覚えるのか、誰かに教わるのか。
感覚で選ばず、意識して決める。

・いつやるか 
「時間ができたら」は、ほぼ来ない。
スケジュールに落として初めて動き出す。

この三つが揃った状態が、「やるだけ」の状態です。
「やっておいて」「調べておいて」で終わっている指示は、
設計がない状態です。
何を・どのレベルで・いつまでに、が決まっていなければ、
やる気のある人でも迷います。
迷わせない環境を作ることが、育成の出発点です。

「聞ける環境」が、設計を活かす

設計ができても、それだけでは足りないことがあります。
やってみて、詰まったとき。
方向が合っているか、不安になったとき。
そこで聞ける環境があるかどうかが、続くかどうかを決めます。
聞ける環境とは、質問しやすい雰囲気のことだけではありません。
誰に聞くか、が分散している状態のことです。
何でも上司や代表に集中する組織は、
聞く側にも聞かれる側にも負荷がかかります。
代表が忙しければ、聞くタイミングを計るようになる。
そのうち、聞くこと自体を諦める。
これでは、設計があっても止まります。
理想は、横同士で解決できる状態です。
同僚に聞ける。先輩に聞ける。代表を介さなくても前に進める。
こういう状態になると、組織の中で情報と知識が自然に循環し始めます。
そして、自分で考えて動ける人間が育ちやすくなる
聞く力と、自分で判断する力は、実は表裏一体です。
この環境は、仕組みで作れる部分もありますが、
雰囲気や文化として根付かせる方が長持ちします。
「聞いたら迷惑か」という空気をなくすこと。
聞いた人が責められない場であること。
横のつながりで解決した経験を積み重ねること。
こうした積み上げが、聞きやすい組織を作ります。

できていること、できていないこと

うちの事務所でも、
育成の設計がきちんとできているかというと、まだ道半ばです。
聞きやすい環境は、気づけばできてきた。
横同士で解決できる場面も増えてきた。
でも、「何を・どうやって・いつまでに」を一緒に設計するところは、
まだ属人的です。
得意な人は自分で設計できる。
そうでない人は、なんとなくこなしている。
この差が、成長スピードの差になって出てきます。
設計を個人の能力に任せているうちは、組織として再現性がない。
そこはまだ、課題として残っています。

まず一つだけ決める

誰かに何か学んでほしいとき、「やっておいて」で終わらせない。
ただ、いきなり全部設計しようとしなくていいです。
まず一つだけ決める。
「何を」だけでも、一緒に決めてみる。
「この分野を優先して」「この本から入って」「この業務で覚えて」
それだけでも、相手の動き方はかなり変わります。
次に、少し詰まったとき、「誰に聞けばいいか」を教えておく。
代表や上司じゃなくていい。横の誰かでいい。
聞く先が決まっているだけで、止まらなくなります。
最終的に目指したいのは、設計を自分でできる人間に育てることです。
「やるだけ」の状態を卒業して、
自分で何をやるべきかを考えられる人になること。
そこまで育てられた組織が、長期で強くなります。
設計は、完璧でなくていい。
「何を」と「誰に聞くか」が決まった状態を作るだけで、
相手は「あとはやるだけ」の状態に近づきます。
そこまで作れば、動くのは本人です。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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