「時間さえあれば、もっとできるのに」
ずっとそう言い続けていました。
タスク管理アプリを入れ替え、
スケジュールを細かく組み、
隙間時間を探す。
でも、何かが変わった感じがしない。
そんな時期が、けっこう長く続きました。
転機は、コーチングを受けたときの一言でした。
「時間ができたら、何をするんですか?」
答えようとして、固まりました。
そのとき初めて気づきました。
時間がないのではなく、
時間の使い道を決めていなかったのだと。
「時間がない」は本当か
タスク整理、ToDo管理、
ポモドーロ、時間ブロック。
時間術の情報は山ほどあります。
試したことがある方も多いと思います。
でも、立ち止まって考えてみてほしいのです。
そのテクニックで空いた時間に、
何をするか決まっていますか?
顧問先の経営者と話していると、
「忙しくて手が回らない」
という言葉をよく聞きます。
詳しく聞いてみると、売上管理、
スタッフ対応、取引先への連絡、
急な問い合わせ対応。
確かに毎日やることは多い。
でも、その中に
「自分にしかできない仕事」がどれだけあるか
を聞くと意外と答えが出てこないことが多いです。
時間がないのではなく、
何が自分の時間を使うべき仕事なのかが、
整理されていない。
これが実態だったりします。
突然できた1時間、何をしていたか
コーチングの話に戻ります。
「時間ができたら何をする?」
に固まってしまった後、
自分の行動を振り返ってみました。
予定がキャンセルになった午後。
移動がなくなって空いた1時間。
そういうとき、自分は何をしていたか。
スマホを見ていました。
ぼーっとしていました。
なんとなく溜まっていたメールを処理して、
気づいたら終わっていました。
心当たり、ありませんか。
これは意志が弱いとか、怠けているとか、
そういう話ではありません。
「その時間に何をするか」が決まっていないから、動けないのです。
人は、白紙の時間を前にすると意外と止まります。
経営者も例外ではありません。
むしろ、普段から「降ってくる仕事」に
対応し続けている人ほど、
自分で時間を設計する習慣がない。
突然できた余白に、戸惑ってしまうのです。
経営者の時間が吸われやすい構造
多くの経営者を見てきて、
1つ気づいていることがあります。
経営者の時間は、放っておくと
「対応」に全部使われます。
スタッフからの質問。
取引先からの電話。
急なトラブル対応。
承認、確認、判断を求められる無数の場面。
これらは全部「誰かが持ってくる仕事」です。
自分が設計した仕事ではありません。
そして、対応系の仕事は終わりがありません。
こなしてもこなしても、次が来る。
結果として、 経営者として本来やるべき仕事、
つまり事業の方向性を考えたり、人を育てたり、
仕組みをつくったりする時間が、
気づいたらゼロになっている。
これは経営者の怠慢ではなく、構造の問題です。
意識して設計しないと、
対応で埋まるようにできています。
本当に使うべき時間が、後回しになっている
経営者や管理職の方に
共通するパターンがあります。
緊急なことには素早く動ける。
でも、緊急ではないけれど重要なことが、
ずっと後回しになっている。
具体的に言うと、こういう仕事です。
スタッフの育成
日々の業務は回っている。
でも、一人ひとりの成長を
考えた関わりができているか。
「忙しいから後で」が続くと、
気づいたら3ヶ月、半年と経っています。
財務の把握
売上は追っているけれど、
キャッシュフローや利益率を経営者自身が
きちんと見られていないケースは多いです。
数字を読む時間は、緊急ではないけれど、
経営判断に直結します。
事業の方向性を考える時間
3年後、5年後に何をやっている会社にしたいか。
これを考える時間は、
誰も「やってください」とは言いません。
これを考えていない経営者は、
日々の対応に流されて
少しずつ方向を見失っていきます。
順番が逆だった
ここで、考え方を変えてみてください。
多くの人がやっていること:
時間を作る
→ 何をするか考える
本当はこうすべき:
何をするかを決める
→ そのために時間を作りにいく
この順番が逆になっているだけで、
いつまでも「時間がない」が続きます。
タスク整理や時間術を
否定したいわけではありません。
それ自体は有効です。
ただ、使い道が決まっていないと、
テクニックは機能しません。
具体的にやることはシンプルです。
「時間ができたらやること」を
あらかじめリストにしておく。
「スタッフとの1on1:30分」
「来期の数字を概算で整理する:1時間」
「ずっと読めていない業界レポートを読む:45分」
こういうリストが手元にあれば、
突然できた時間に迷わず動けます。
また、顧問先と関わる中で、
感じていることがあります。
月次の数字を一緒に見る時間。
これ自体が、経営者にとって
貴重な「設計された時間」のひとつです。
でも実態として、この時間を
うまく使えている経営者は多くないです。
数字が出てきても、そこから何かを考える
という使い方になっていないことが多いです。
数字を見ると、気づきが出てきます。
「利益は出ているのに、なぜ手元にお金がないのか」
「売上は伸びているのに、
なぜ忙しさだけが増しているのか」
こうした問いが、
経営者が本来考えるべき時間のテーマになります。
税務・会計の数字は、
経営者の時間の使い道を照らすヒントでもある
と思っています。
このあたりは、あらためて別の記事で書きます。
まず、書き出すことから始める
今日、これだけやってみてください。
「時間ができたらやること」を3つだけ書き出す。
経営判断に関わること、人に関わること、
自分のインプットに関わること。
この3ジャンルから一つずつ選ぶと、
バランスよく出てきます。
書き出した瞬間に、
それは初めて「やること」になります。
頭の中にあるだけでは、
いつまでも「いつかやること」のままです。
時間術より先にやるべきことは、
時間の使い道を決めること。
テクニックは、その後でいいと考えています。
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