凡事徹底。森保監督がW杯で貫いた、当たり前を当たり前にやる強さ

うちの事務所は、開業して8年目になります。
毎年増収。毎年増員。
法人化もしました。
事務所も移転しました。
ありがたいことに、
こうした成長に注目していただいて、
税理士業界の講演に呼んでいただく機会も
増えてきました。
講演の場に立つと、いつも感じる空気があります。
「何か特別なノウハウがあるんですよね?」
「成長の裏に、秘訣があるんですよね?」
そういう期待です。
そのたびに、僕の中で少し違和感が走ります。
理由は、後で書きます。
先日、サッカー日本代表の森保監督が、
ワールドカップに向けたキーワードとして
「凡事徹底」という言葉を掲げました。
「W杯は特別な舞台だが、
これまでやってきたプロセスの先にある」
特別なことをするのではなく、
これまでやってきたことを、これまで通りやる。
この言葉を聞いたとき、
講演でのあの違和感の正体が、
少しわかった気がしました。

なぜ「特別なこと」をやりたくなるのか

結果を出した人ほど、
「何か秘訣を語らなければ」という
プレッシャーを感じやすいです。
増収した。増員した。法人化した。
こういう結果を見せると、
周りは「裏に戦略があるはずだ」と思います。
本人もだんだん、
「何か特別なことを言わないと」
という気持ちになってくる。
経営者にも、専門家にも、
よくある話だと思います。
でも、本質は逆です。
特別なことをやったから結果が出たのではなく、
当たり前のことを当たり前にやり続けたから、
結果が出た。

それだけのことです。

凡事徹底とは何か

森保監督がW杯で注目されたのは、
戦術だけではありません。
日本代表は、試合後に
ロッカールームを掃除して帰ります。
サポーターは、スタジアムで
ゴミを拾って帰ります。
森保監督はこれを
「日本人なら多くの人が知っている文化」
と紹介しました。
特別なことではありません。
誰でもできることです。
でも、誰でもできることを、
毎回、最後まで、丁寧にやり続ける。
これが凡事徹底なんだと思います。
「当たり前のことを、
誰にもできないレベルでやり続けること」
と言ってもいいかもしれません。

「いつでも、誠実に丁寧に」の実態

うちの事務所にも、これに近い場面があります。
僕はいま、ほぼ自分で担当を持っていません。
それでも新規のご相談は、僕が受けることが多い。
そこで必ず意識していることがあります。
できないことは、できないと言うことです。
たとえばこんな場面があります。
「医療系の顧問をお願いしたいんですが」
と相談が来たとき。
「はい、もちろん対応できます」
とは言いません。
「医療系専門ではないので
ノウハウはお伝えできませんが、
経験はあります。その上でよければ、
ぜひ話しましょう」
と伝えます。
レスの速さ、オンライン化、財務面の強み
は自信を持って話す。
でも、できないことには線を引く。
この線引きを、毎回、丁寧にやっています。
うちの事務所のバリューに
「いつでも、誠実に丁寧に!」
という言葉があります。
特別なことではありません。
ただ、当たり前を
当たり前にやり続けているだけ
です。

凡事徹底は地味だから続かない

凡事徹底の難しさは、ここにあります。
派手さがないので、続けるのが一番難しい。
新しい施策には注目が集まりますが、
当たり前のことを当たり前に続けることには、
誰も注目しません。
だから、組織の中で一番崩れやすいのも、
ここ
です。
開業のときも、特別なことはしませんでした。
開業前にいた事務所は、田舎町の総合的な事務所。
法人・個人・相続と、
幅広い分野で経験を積みました。
開業時、何か一つの分野に
特化しようとは考えませんでした。
高単価スタートも選びませんでした。
代わりに考えたのは、できることを、
効率的にやることでした。
それはクラウド会計、
特にマネーフォワードへの特化
です。
当時、中小法人のクラウド会計導入率は約14.5%。
まだ誰もが弱者だった領域でした。
だからこそ、早く取り組めば
優位性を築けると考えたした。
これも、派手な戦略ではありません。
当たり前のことを、地道に積み重ねただけです。
そして、これが一番言いにくいのですが、
うちの事務所にも、
まだできていない当たり前が山ほどあります。
記帳のやり方も、面談の議事録の作り方も、
担当者によってバラバラです。
マニュアル化が追いついていません。
僕自身も、資料の整理や保管が当たり前すぎて、
逆にできていないです。
凡事徹底を語りながら、
凡事がまだ徹底できていない。
これが現実です。

凡事徹底が差になる理由

ワールドカップは、特別な舞台です。
でも、特別な舞台だからこそ、
どのチームも同じだけの
準備期間を与えられています。
情報も、戦術理論も、
ある程度は共有されています。
そこで差がつくのは、戦略の奇抜さではなく、
細部をどこまで徹底できるかです。
ここで、最初の話に戻ります。
講演で「成長の秘訣」を聞かれるたびに走る、
あの違和感。
その正体は、
特別なことを何もしていないからです。
増収も、増員も、法人化も、移転も、
当たり前のことを当たり前に
やり続けてきた結果
でしかありません。
できないことはできないと言う。
できることを、効率的にやる。
それだけです。
それでも、成長はできます。
むしろ、それしかやっていないからこそ、
成長できたのだと思っています。

当たり前を、ひとつ言い直す

難しいことをする必要はありません。
今日、自分の仕事の中にある「当たり前」を、
一つだけ思い出してみてください。
できないことを、できないと言えているか。
当たり前のはずの作業が、
担当者によってバラバラになっていないか。
凡事徹底は、
特別な日に始めるものではありません。

今日の、当たり前の中に、すでに答えがあります。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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