「節税しただけで本当は黒字」は銀行に通用しない


こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

今日は、節税の話です。
節税は悪じゃありません。
むしろ、ちゃんと使うべきです。
ただし、節税や繰延に頼りすぎる と、
会社がじわじわ弱くなります。
特に「これから融資を増やしたい」
「銀行とちゃんと付き合っていきたい」会社ほど、
この落とし穴にハマりやすいです。

節税は正しいが、やりすぎは会社を弱くする

税金って、社長からすると本当に嫌な支出です。
「できるだけ減らしたい」と考えるのは当然です。
でも、節税が目的化して、
利益を消すこと が当たり前になると、
別の場所でツケが来ます。
それが、資金調達です。
融資は「困ったときの延命措置」ではなく、
成長のための武器です。
武器が使いにくい状態に自分から寄せていくのは、
とてももったいないです。

内部留保=現金ではない(でも両方大事)

ここ、誤解が多いので最初に注意点を書きます。
よく「内部留保を増やそう」と言いますが、
内部留保=現金 ではありません。
内部留保は、形式的には純資産(利益剰余金)
として積み上がる「会社の体力」です。
倒れにくさ、耐久力、
という意味ではとても大切です。
一方で、社長が毎日気にしているのは 現預金 です。
支払いができるかどうか。
これがなければ、
どんなに純資産が厚くても会社は止まります。
だから、会社にとって大事なのはこの2つです。

  • 純資産としての内部留保(信用・耐久力)
  • 手元の現預金(支払能力)

この「内部留保と現金がズレる話」は、
深掘りすると長くなるので、
別の記事でちゃんと扱います。
まずは「節税の限度」の話に絞ります。

節税・繰延が効くゾーンと、効かせちゃダメなゾーン

節税や繰延は、全部が悪いわけじゃありません。
合理的な使い方があります。
ざっくり法人は、利益が800万円を超えると
税率が1段階上がる ので、
そこを超える部分を節税したり繰り延べたりして、
利益を平準化する発想は有効です。
ここまでは良い。
問題は、税金を減らすことが強くなりすぎて、
利益ゼロ 赤字 まで持っていくことです。
そこまでやると、税金は減っても、
会社の体力が積み上がりません。
節税や繰延には限度があります。
「税率が上がるゾーンをならす」のは合理性がある。
でも、「利益を消す」のは本末転倒になりやすい。

利益を消すと、会社はどう弱くなるのか

利益を消すと、純資産が積み上がりません。
純資産が積み上がらない会社は、
外から見るとこう見えます。
「この会社、体力が増えていない」
銀行は、社長の頭の中を覗けません。
見えるのは、決算書です。
だから、純資産が薄い状態が続くと、
融資の話が進みにくくなります。
その結果、よくある流れが起きます。
借りにくい
→ 手元が不安になる
→ 税金が怖くなる
→ さらに利益を消す節税に寄る
→ もっと借りにくくなる
節税をがんばったつもりが、資金調達の自由度を削ってしまう。
この 逆転現象 が、いちばん怖いところです。

「節税しただけで本当は黒字」は、銀行に通用しない

社長の頭の中では、こんな理屈が成立します。
「いや、利益は出てるんです。
節税しただけなんです」
お気持ちは痛いほど分かります。
でも、銀行の評価シートでは
社長の言い分は考慮してくれません。
理由はシンプルです。
銀行員は忙しいから。
1社ずつ「節税の裏側にあるストーリー」
を読み解くより、
決算書の数字をシステムに打ち込む方が早い。
そして、銀行から見るとこうなります。
決算書が薄い = 体力がない
これが、銀行から見た現実です。

見方を変えると税金は「信用を買う支出」

じゃあ、どう考えるか。
僕はこう捉えています。
税金は、ただのコストではなく、
信用を買う支出 でもあります。
納税するということは、
利益を残すということです。
利益を残すということは、
純資産(内部留保)が積み上がる ということです。
純資産が積み上がるということは、
会社が強くなる ということです。
会社が強くなると、
銀行との会話がラクになります。
融資枠が取りやすくなる。
条件が整いやすくなる。
必要なときに必要な資金が入りやすくなる。
この 資金調達の自由度 は、
経営にとってかなり大きい。
もちろん、無駄に税金を払いましょう、
という話ではありません。
ただ「税金ゼロを目指す」みたいな発想は、
結局コスパが悪いことが多いです。

節税はうまく活用する。依存しない

節税も繰延も、有効です。
でも、頼りすぎると会社を弱くします。
特に、利益ゼロや赤字になるまで
持っていく節税は、
短期的には気持ちがいい。
でも長期的には、会社の体力と信用を削って、
資金調達の自由度を奪います。
大事なのは、純資産としての内部留保と現預金
両方厚くしていくこと。
そして、銀行に通用するのは
「本当は黒字なんです」
という説明ではなく、
数字として厚みのある決算書 です。
節税で勝つより、
資金調達の自由度で勝った方が、
経営は楽になります。

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