
こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
税務顧問をしていると、
数字の相談と同じくらい多いのが
「組織」と「教育」の悩みです。
「社員が育たない」
「自分がいないと回らない」
「試算表を見ても、
人件費ばかり上がって利益が残らない」
そして最後はだいたい、
「仕組み化しないとダメですよね…」
という話になります。
これは本当にその通りで、
仕組み化したい気持ちはめちゃくちゃ分かります。
僕自身もいち経営者なので、
同じ壁に何度もぶつかってきました。
仕組み化は正義。やらないのは怠慢
まず大前提として、仕組み化は必要です。
無駄が良いわけじゃないし、
属人化が放置されるほど組織はしんどくなります。
特に仕組みにした方がいいのは、
こういう領域です。
入社直後の教育
業務の進捗管理
チェック体制(ミスを防ぐ仕組み)
誰でもできそうな業務の手順化
ここを「気合」で回してる会社は、
社長も社員も疲弊します。
だから、ここはちゃんと整えた方がいい。
これは正論です。
仕組み化の完成は「思考停止の始まり」でもある
僕が言いたいのはここからです。
仕組み化って、進めれば進めるほど
「安心」になります。
ミスも減るし、回るし、落ち着く。
でも、安心が100%になると、
付いてくるものがあります。
人は考えなくなります。
決められた通りにやって、報酬がもらえる。
それが普通です。
むしろ自然です。
だから、仕組み化を“完成”させた瞬間に、
その組織はゆっくり止まり始めます。
失敗事例:テンプレ運用が“信頼”を壊す
分かりやすい失敗例があります。
顧客との文面のやり取りを
テンプレ化した会社って、
けっこう多いんですよね。
もちろん、最初は効率が上がります。
返信スピードも上がる。
でも、すぐに起きることがあります。
みんなテンプレに寄りかかるんです。
すると、文面から人間味が消えます。
言い方は悪いですが「AIでも書ける文章」
になっていく。
本来、顧客との信頼関係って、
“人だからこそ”の細かい温度感や
気遣いで積み上がります。
そこが薄くなると、ちょっとした相談が減る。
相談が減ると、関係が浅くなる。
関係が浅いと、見直される。
さらに、テンプレの使い回しは
前提ズレが起きやすいので、
小さいミスも出ます。
小さなミスって、
数字以上に信用を削るんですよね。
「作業」は仕組み化。「仕事」は属人化
ここで、僕はいつもこう整理しています。
作業は仕組み化していい。むしろすべき。
仕事は属人化していい。むしろ残すべき。
作業っていうのは、
誰がやっても同じ結果になるものです。
スピードとミス防止のために固める領域です。
一方で、仕事っていうのは、
判断、提案、改善、顧客理解みたいな部分です。
つまり付加価値です。
この付加価値まで標準化すると、
一気に価値が薄くなります。
ルール化した瞬間、それはAIに近づく
仕組みにできる=言語化できる
=パターン化できる。
これ、便利なんですが同時に、
「それ、AIの方が安くて正確だよね」
と言われる領域に、
自ら歩み寄っているのと同じです。
そしてもう一つ。
人の成長意欲も止まりやすくなります。
決められたことを、決められた通りにやるだけ。
それで評価されるなら、挑戦する理由がなくなる。
これも普通です。
人間ってそういうものです。
安定を作りつつ「攻略不可能な余白」を残す
じゃあどうするか。
答えは、仕組み化をやめることじゃないです。
仕組み化“だけ”を目指さないことです。
土台は仕組みにする。
教育、管理、品質は整える。
でも上物、つまり付加価値の部分は、
意図的に「攻略不可能な余白」を残す。
例えば、報告書のフォーマットは決まっていても、
最後に必ず
「お客様が明日から一つだけ変えられること」を
自分の頭で考えて提案する。
こういう「マニュアルに書けない一言」こそが、
AIにも競合にも真似できない、
その会社だけの強みになります。
仕組み化は、ゴールではありません。
社員が安心して
「自ら考え、動けるようになるための」
スタートラインです。
安定を作りつつ、挑戦せざるを得ない環境を作る。
不完全な余白を、好む組織でありたいですね。
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