「なんで自分は、これができないんだろう」
経営者である僕も、例外ではありません。
一方で、スタッフを見ていると、
「なんでここまでできるんだろう」と
純粋に感心することもある。
できないことがある。
でも、誰かが圧倒的に得意なことがある。
それなら、得意な人に任せればいい。
この当たり前のことを、
組織として設計できているかどうかが、
チームの強さを決めると思っています。
人には必ず、良いところと悪いところがある
当たり前のことですが、改めて言います。
スタッフ一人ひとりに、
得意なことと不得意なことがあります。
数字に強いけど、人と話すのは不得意。
人当たりはいいけど、細かい作業は不得意。
スピードはあるけど、丁寧さに欠ける。
これは能力の優劣ではなく、特性です。
ここを「直させよう」とする経営者は多いです。
不得意なことを訓練させて、平均点を上げようとする。
気持ちはわかります。
でも、これにはかなりの時間とエネルギーがかかります。
しかも、本人にとってもストレスです。
悪いところを直すより、良いところで覆う
僕が大事だと思っているのは、
悪いところを消そうとするのではなく、
良いところで覆ってしまうほどの設計です。
たとえば、丁寧さに欠けるけれど、
圧倒的に行動が早いスタッフがいたとします。
このスタッフに「もっと丁寧にやって」
と言い続けても、なかなか変わりません。
それより、
チェックが得意な別のスタッフと組ませる。
そうすると、
スピードという長所はそのまま活きて、
丁寧さの不足は、組んだ相手の長所で覆われます。
一人の中で完結させようとするから、
不得意が目立つんです。
組織の中で組み合わせれば、
不得意は見えなくなり、
得意だけが前に出てきます。
ドラッカーが言う「強みのマネジメント」
これは、僕が独自に考えたことではありません。
経営学者のピーター・ドラッカーは、
組織やマネジメントの役割について、
人の弱みではなく強みに目を向け、
強みを最大限に発揮させることだ
という趣旨のことを述べています。
弱みを克服させることに力を注ぐのではなく、
強みを発揮できる環境を整えることで、
弱みの影響を相対的に小さくしていく。
これが、組織が本来担うべき機能だという考え方です。
一人のスタッフの弱みをゼロにしようとするより、
強みを生かす設計に時間を使ったほうが、
組織全体の成果は大きくなる。
これは精神論ではなく、
経営の理論としても裏付けがある考え方です。
できないことは、できる人にやってもらえばいい
苦手なことを、無理に克服させる必要はありません。
できないことは、できる人にやってもらえばいい。
僕自身、細かい事務処理は得意ではありません。
でも、それが圧倒的に得意なスタッフが事務所にいます。
僕が無理に細かい作業を頑張るより、
発信や対外的な役割に集中して、
事務処理は得意な人に任せたほうが、
事務所全体としては圧倒的に成果が出ます。
不得意なことを克服する努力より、
得意な人に託す勇気のほうが、
組織にとっては大事だったりします。
その配置を考えるのが、経営者の役割
誰の、どの長所を、どこで活かすか。
それを設計すること。
これは、現場のスタッフにはできません。
全体を見ている経営者や管理職だからこそ、
できる仕事です。
うちの事務所では、この考え方をもとに、
委員会という形で配置しています。
状況を見るのが得意なスタッフには、
職場環境改善委員を。
ITやAIに関心があるスタッフには、
AI推進委員を。
ほかにも、税務が得意な人、財務が得意な人、
他社との折衝が得意な人と、
それぞれの強みに合わせて役割を任せています。
すると、自然とこういう流れができてきます。
不得意な分野があったとき、
無理に自分で頑張ろうとするのではなく、
その分野が得意な人に聞く。
これが、特別なルールを作らなくても、
カルチャーとして根づきつつあります。
このスタッフの強みは何か。
それが活きる場面はどこか。
誰と組ませれば、お互いの弱みが消えるか。
これを考え続けるのが、
経営者の本質的な役割だと、僕は思っています。
正直、うちの事務所もこの仕組みが
完璧にできているわけではありません。
それでも、
できないことを直させるより、
できる人に託す設計を考え続ける。
この姿勢自体が、組織を強くしていくと感じています。
強みのマネジメントから始める
スタッフを一人思い浮かべてみてください。
その人の「不得意なこと」ではなく、
「圧倒的に得意なこと」を一つ挙げてみる。
そして、その得意なことが、
今の配置で十分に活きているか考えてみてください。
マネジメントというと、
できないことをどう改善させるか、
という発想になりがちです。
でも、本当に成果を左右するのは、
強みをどう配置し、どう活かすかのほうです。
弱みの管理ではなく、強みのマネジメント。
良いところを直す必要はありません。
良いところを、活かす場所を作る。
組織づくりは、そこから始まります。
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