「やりたいこと」と「向いていること」のズレを、AIが埋め始めている

「好きなことを仕事にしよう」
よく聞く言葉です。
でも、経営者に限らず色んなの方と話していると、
こんな声もよく聞きます。
「本当にやりたいことが、正直よく分からない」
「やりたいことはあるけど、向いていない気がする」
やりたいことをやれれば幸せです。
でも、なかなかそうはうまくいかない。
ただ、この前提が、
AIの登場で少しずつ変わり始めています。

やりたいことと適性は、だいたいズレている

まず整理しておきたいのが、
やりたいことと適性の違いです。
やりたいことは、憧れやイメージ。
適性は、やると自然に成果が出ること。
この二つは、
残念ながら一致しないことの方が多いです。
文章で発信したいけど、書くのは苦手。
経営の数字を語りたいけど、計算は苦手。
人前で話したいけど、資料づくりが進まない。
やりたい気持ちはある。
でも、手が止まる。
成果が出ないから、だんだん楽しくなくなる。
アメリカの研究者カル・ニューポートは、
「情熱は、能力の後からついてくる」
という趣旨のことを述べています。
好きだからうまくなるのではなく、
うまくなるから好きになる。
成果が出る。
人に頼られる。
だから、楽しくなる。
実際、仕事の満足度はこの順番で
生まれていることが多いと感じます。
でも、本質は
やりたいことは、適性の先に見つかる
ということです。

これまでは、資質が選択肢を決めていた

では、苦手なことはどうするか。
これまでは、
苦手を埋めるコストがとても大きかった。
文章が苦手な人が書けるようになるには、
何年もかかる。
数字が苦手な人が試算できるようになるにも、
相当な時間がかかる。
ドラッカーは「強みの上に築け」
と繰り返し説きました。
弱みを人並みにする労力は、
強みを一流にする労力よりはるかに大きい
、と。
これは本当にその通りで、
限られた時間の中で成果を出すなら、
適性に徹するのが合理的な選択でした。
ただ、その裏側で、
多くの人が「自分には向いていない」と
やりたいことを手放してきたのも事実です。
持って生まれた資質が、
そのまま選択肢の幅を決めていた。
これまでは、そういう時代でした。

AIが変えたのは「苦手の埋め方」

ここに、AIが入ってきました。
AIが一番変えたのは、
苦手の埋め方だと僕は思っています。
例えば、こんな場面です。
話すのは得意だけど、文章が書けない人。
考えていることを音声で話し、
AIに文章として整えてもらう。
アイデアは出るけど、数字に落とせない経営者。
ざっくりした構想をAIに伝えて、
試算や資料の叩き台をつくってもらう。
以前なら「向いていない」で終わっていたことが、
資質×技術で実現できるようになってきました。
うちの事務所でも、
面談の文字起こしから議事録を作る、
といった使い方から始めています。
まずはAIに慣れること。
小さな作業でも、苦手や手間をAIに渡すだけで、
得意なことに使える時間は確実に増えます。

やりたいことと適性が、重なり始めている

ここで、最初の話に戻ります。
やりたいことと適性は、だいたいズレている。
そう書きました。
でも今、そのズレが少しずつ縮まり始めています。
これまでは、苦手な部分が足を引っ張って、
やりたいことに手が届かなかった。
でもAIがその苦手を補ってくれるなら、
やりたいことでも成果が出始める。
成果が出れば、頼られる。
頼られれば、楽しくなる。
ニューポートの言う
「能力の後からついてくる情熱」が、
やりたいことの側でも生まれやすくなる。
つまり、やりたいことが、
適性の範囲に入ってくる

ということです。
資質だけで選択肢が決まっていた時代から、
技術に助けられながら、
その人にとってより好ましい選択ができる時代へ。
AIの本当の価値は、
効率化よりもむしろここにあると感じています。

それでも、軸は適性に置く

ただ、一つ注意があります。
AIが埋めてくれるのは、あくまで「苦手」です。
その人の「核」までは埋めてくれません。
誰でもAIを使えるということは、
AIでできる部分では差がつかない、ということ。
だからこそ、
自分の適性を知っているかどうかで、
むしろ差は大きくなります。
適性を軸にする。
そのうえで、AIの力を借りて、
やりたいことの方向へ少しずつ領域を広げる。
この順番が大事だと思っています。
これは組織でも同じです。
メンバーの苦手を
克服させることに時間を使うより、
適性を活かして、苦手はAIで補う。
管理職の役割は、その組み合わせを
一緒に考えることなのかもしれません。
とはいえ、僕自身もまだ、
AIに任せられる作業を
つい自分で抱えてしまうことがあります。
頭では分かっていても、
手が慣れたやり方に戻ってしまう。
ここは今も意識して変えているところです。

苦手な作業を一つ、AIに渡してみる

まずは小さく始めてみてください。
時間をかけているのに、
なかなか成果が出にくい作業を一つ選ぶ。
それをAIに任せてみる。
そして、空いた時間を得意なことに使う。
それだけで、仕事の手応えは少し変わります。
適性に徹する。
そのうえで、苦手は技術に任せる。
そうしているうちに、
諦めていた「やりたいこと」が、
意外と手の届く距離に来ているかもしれません。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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