その節税商品、本当に得していますか?

「これ、節税になるって聞いたんですけど、
どうですか?」
顧問先からこういう相談を受けることが、
本当によくあります。
保険、不動産、オペレーティングリース、
太陽光、トランクルーム。
営業されている商品は、たくさんあります。
でも、正直にお伝えします。
世の中で「節税商品」
と呼ばれているものの多くは、
節税ではありません。
税の繰延にすぎない、というのが実態です。
今日はその見極め方を、整理してお伝えします。

そもそも「節税」と「繰延」は違う

ここが、一番混同されやすいポイントです。
節税とは、トータルで払う税金が減ること。
繰延とは、今払う税金を、将来に先送りすること。
この二つは、まったく別物です。
繰延が悪い、という話ではありません。
資金繰りや投資タイミングを考えれば、
繰延に意味がある場面もあります。
ただ、「税金が減った」と勘違いしてはいけません。
出口で同じだけ税金がかかるなら、
トータルの負担は変わらない。
ここを押さえずに商品を選ぶと、
後で「あれ、思ったほど得していない」となります。

判断軸は3つに分けると整理しやすい

巷で「節税商品」と呼ばれるものを見るとき、
僕は3つに分類して考えます。

  1. 単なる繰延型
    (オペレーティングリース、短期前払費用など)
  2. 事業性を伴うもの
    (不動産投資、太陽光など)
  3. 保障や出口設計で効果を得るもの
    (法人保険、退職金活用など)

それぞれ、見るべきポイントが違います。
ここを混ぜて考えると、判断を誤ります。

事業性を伴う商品は「本当にやりたい事業か」考える

不動産投資、太陽光、コインランドリー、
トランクルーム。
こうした商品は、節税効果が
前面に出る営業トークが多いです。
でも、本質はそこではありません。
その事業が単体で成り立つか。
そして、自分が本当にやりたい事業か。

ここを飛ばしてはいけません。
不動産なら、出口でその価格で本当に売れるのか。
保有期間中のキャッシュフローはどうか。
太陽光なら、
20年間の運営を自分が続けられるのか。
「節税になるから」を理由に始めた事業は、
たいてい途中でしんどくなります。
本業の足を引っ張ることすらある。
事業性を伴う商品は、節税商品ではなく、
事業そのものとして判断するのが正解です。

事業性がないなら、今の本業に投資した方が早い

わざわざ新しい事業を外に探す必要は、
本当にあるでしょうか。
本業での広告、人件費、設備投資、
教育研修、システム化。
これらは全部、経費として処理できます。
そして何より、
本業のリターンとして返ってきます。
知らない分野の節税商品にお金を入れるより、
知っている本業に投資する方が、
圧倒的に確実です。
売上が伸びる。
スタッフが育つ。
業務が効率化する。
これらは、節税商品では
絶対に得られない効果です。
節税になる投資先を外に探す前に、
まず内側を見る。
これが、僕がいつもお伝えしていることです。

法人保険は「保障が本当に必要か」から考える

法人保険は、3つの分類でいうと
「保障や出口設計で効果を得るもの」に入ります。
支払時に損金算入できるタイプもあり、
出口で退職金として受け取れば、
税負担を抑える設計が可能です。
ここは繰延だけでなく、
出口での税負担軽減効果もあります。
ただ、大前提があります。
その長期間の保障が、本当に必要か。
保障ニーズがないのに、
税負担軽減目的だけで入ってしまうと、
解約タイミングを誤って結局損をする、
というケースは少なくありません。
保険は、保障の必要性が先。
税の効果は後。
この順番を間違えないことが大切です。

「出口価格」と「保有期間の収益」が9割

これは不動産に限った話ではありません。
事業性のある商品も、繰延型の商品も、
共通して言えることです。
節税商品として売られているものの多くは、
減価償却や損金算入で
所得を圧縮する仕組みが中心です。
でも、これは繰延に近い性質を持っています。
売却時や解約時には、簿価が下がっている分、
出口の所得が増えるからです。
本当に得かどうかを決めるのは、
税効果ではありません。

  • 出口でその価格で買い手がつくか、想定通りの金額が戻ってくるか
  • 保有期間中のキャッシュフローがプラスか

この2点です。
不動産でも、オペレーティングリースでも、
太陽光でも、構造は同じです。
出口の数字と、途中の収益。
ここを度外視して、
目先の損金算入だけで判断すると、
出口で大きく後悔します。

結局、お金の流れはどれも同じ構造

ここまでいろいろ書きましたが、
整理するとシンプルです。
どんな商品も、
お金の流れは同じ構造をしています。

  • 入口:お金が出ていく
  • 途中:何らかの効果を得る
  • 出口:課税される

違うのは、途中で得られる効果の中身だけです。
保険なら、保障。 事業なら、事業リターン。
本業投資なら、売上や組織の成長。
だから問うべきはシンプルです。
途中で得られる効果が、
自社にとって本当に価値があるか。

保障が要らないのに保障を買う。
やりたくない事業に投資する。
これは、途中の効果を捨てているのと同じです。
税の繰延だけが残って、
本当に得たいものが手に入っていない。
これでは、何のために投資したのか
わからなくなります。

正直に言うと、見極めは簡単ではない

営業されると、数字が並んでいて
魅力的に見えるものです。
僕自身、若手の頃にお客様から相談されて、
勉強しながら一緒に考えた経験が何度もあります。
今でも相談を受けるたびに、
その商品の中身を一つひとつ整理して、
お客様と一緒に考えるようにしています。
全ての商品にあらかじめ
答えを用意できるわけではありません。
ただ、入口・途中・出口で
何が起きているかを分解する。
一つの軸だけで判断しない。
この姿勢だけは、崩さないようにしています。

今日できること

節税商品を提案されたら、
3つだけ自問してみてください。

  1. これは繰延か、本当の節税か
  2. 途中で得られる効果は、自社にとって本当に必要か
  3. それなら、本業への投資の方が早くないか

この3つで一度立ち止まれるだけで、
判断の質はかなり変わります。
節税は、目的ではなく結果です。
本当に必要な投資を、必要な理由で行う。
その結果として、税が調整される。
この順番を守れる経営者は、必ず強くなります。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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