「いい仕事」をしているのに、なぜ選ばれないのか

開業当初から、ブランディング
意識していました。
だから「いい仕事さえすれば選ばれる」とは、
あまり思っていなかった。
でも、起業したばかりの経営者や、
中小企業の経営者と話していると、
この感覚に陥っている方はとても多いです。
「うちは品質には自信があるのに、
なぜか新規が取れない」と。
気持ちはわかります。
いい仕事をしたい、という思いは本物だし、
それ自体は正しい。
ただ、選ばれるかどうかは、
質だけでは決まりません。

質は前提。
その先に、ブランディングがあります。

「日本一おいしい」ハンバーガーは、誰が作っているのか

突然ですが、質問です。
日本で一番おいしいハンバーガーを
作っているのは、どこでしょうか。
おそらく、答えは出ません。
「おいしさ」は主観で、
計ることができないからです。
では、日本で一番ハンバーガーが
売れているのはどこか。

これは答えが出ます。
マクドナルドです。
腕のいい料理人が一人で作る、
こだわりのバーガーより、
マクドナルドのアルバイトが作るバーガーの方が、
圧倒的に売れています。
おいしさで勝っているからではありません。
「知られているから」選ばれているのです。
ミネラルウォーターも同じです。
環境に配慮した水といえば、
特定のブランド名が頭に浮かぶはず。
でも実際にそれが「一番環境にいい水」かどうか、
消費者には判断できない。
それでも選ばれる。
「そういうブランドだ」と認知されているから。
寿司も同じかもしれません。
日本で一番腕のいい寿司職人が誰かは、
誰にも分からない。
でも、日本で一番多くの寿司を売っているのは、
くら寿司のアルバイトかもしれない。
(実際のデータは確認していないので、
あくまでたとえ話ですが。)
挙げればキリがないですが、
売れている理由は、腕の差ではなく、
仕組みと認知の差です。

経営学が言っていること

1981年、アル・ライズとジャック・トラウトが
「ポジショニング」という概念を提唱しました。
その核心はシンプルです。
勝負するのは市場ではなく、顧客の頭の中だ。
人の記憶には「カテゴリーごとに
1〜2番手しか残らない」
という特性があります。
コーラといえば?
検索エンジンといえば?
宅配便といえば?
それぞれ、すぐに特定のブランドが
浮かぶはずです。
つまり、ブランディングとは
「顧客の頭の中の棚に、自分の名前を置くこと」。
質を高めることは大前提。
でも、どれだけいい仕事をしても、
頭の中の棚に入っていなければ、
選択肢にすら上がらない。
これは、大企業だけの話ではありません。
中小企業や個人事業主こそ、
ポジショニングが生死を分ける。

資本力で戦えない分、「この領域といえばここ」
という認知を取ることが、
最も効率のいい戦略になります。

コモディティ化の時代、質は「前提」になった

かつては、質が高ければ口コミで広がりました。
情報が少なかったから、
本当にいいものは自然と知られていった。
今は違います。
どの会社も「丁寧」「安心」「実績あり」
を謳っている。
どこも似たようなことを言っている。
コモディティ化が進んだ市場では、
質は差別化の武器ではなく、
参加条件になっています。
質が低ければ論外。
でも質が高いだけでは、選ばれる理由にならない。
その先に何があるかが、問われています。

うちの事務所の話

選んだのは2つの軸でした。
オンライン専門の税務顧問であること。
会計ソフトはマネーフォワードに特化すること。
この2点を軸に、
開業当初から情報発信を続けました。
その結果、少しずつ変化が起きました。
今、うちへの問い合わせは、
オンラインで完結したい方、
マネーフォワードを使いたい方からに
絞られています。
アナログな対応を希望する方や、
他のソフトに興味がある方からの問い合わせは、
ほとんど来ません。
これは、機会損失ではありません。
ブランディングが機能している
証拠だと思っています。

合わない問い合わせが来なくなること自体が、
ポジションが取れているサインです。
最近は、財務に強い事務所として、
社外CFOという軸も、
少しずつ認知されてきています。
まだ道半ばですが、発信を続けることで、
じわじわと変わってきている実感があります。

「知ってもらう」が先、「選ばれる」は後

選択の場面を思い出してみてください。
新しいサービスを探すとき、
最終的に何が決め手になりますか。
比較して、調べて、でも最後は
「なんとなく知っている」「聞いたことがある」
という感覚が背中を押していることが多い。
ブランドとは、「ここに頼みたい」
という感覚をつくることです。

質の話ではなく、認知と信頼の話です。
いい仕事をするのは当然の前提。
その上で、知ってもらわないことには始まらない。
発信を続けていると、問い合わせのときに
こう言われることがあります。
「前からYoutubeを見ていました」
「雰囲気が分かったので連絡しました」と。
質を見てもらう前に、存在を知ってもらっている。
その順番が、今の時代は大事だと感じています。

今日できること

自分のビジネスの「らしさ」を、
一言で言えるか考えてみてください。
何が得意か、ではなく、
どんな人に、どう役立てるか。
それが言語化できたとき、
発信する内容が決まります。
発信する内容が決まれば、続けられます。
続ければ、顧客の頭の中に入っていけます。
「いい仕事」は、これからも追い続けてください。
ただ、それだけでは届かない時代になっています。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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