税理士に相談するタイミングが遅い会社の共通点

「もう少し早く言ってくれれば……」
税務顧問の問い合わせがあった際に、
この言葉を心の中でつぶやく瞬間があります。
あるお客様のケースです。
売上規模の変化で、
消費税の計算方法を有利な方式に
切り替えられる状況
でした。
ところが、その切り替えには
期限内に届出書を提出する必要がある。
相談をいただいたのが、
その期限を過ぎた後でした。
結果、不利な方式で申告せざるを得ず、
数十万円の差
が生まれました。
防げた損失でした。
タイミングさえ早ければ。
こういう経験を何度も重ねてきた中で、
気づいたことがあります。
相談が遅い会社には、共通したパターンがある。
やる気の問題でも、忙しさの問題でもない。
税理士との関係の捉え方に、
根本的な違いがあるのです。
今日は、相談のタイミングが
遅くなる会社に共通する特徴と、
それを変えるためにできることをお伝えします。

遅い会社の共通点①税理士を「申告書を作る人」だと思っている

多くの経営者が、顧問税理士の役割を
「税務申告の代行」と捉えています。
それは間違いではありません。
確定申告や法人税の申告書を作るのは、
確かに税理士の仕事です。
でも、それだけではもったいない。
税務や財務の相談相手として
使えているかどうか
で、
顧問の価値はまったく変わります。
届出の話だけではありません。
融資の組み方、投資判断のタイミング、
資金繰りの見立て。
これらを事前に相談できる体制があるかどうかで、
会社が動ける幅は大きく変わります。
たとえば融資ひとつとっても、
「いつ、いくら、どの目的で借りるか」
を事前に整理できている会社と
そうでない会社では、
借りられる金額も条件も
変わってくることがあります。
税理士は金融機関とのやり取りにも
関わることができる立場です。
申告書を作ってもらう人、から、
経営の判断を一緒に整理する相手へ。
この認識の転換が、最初の一歩です。

遅い会社の共通点②判断を先送りにしている

「もう少し進んでから連絡しよう」
「具体的になったら聞いてみよう」。
この思考が、相談をどんどん後回しにします。
動くタイミングを迷っているうちに、
期限ギリギリで駆け込んでくる
経営者はかなり多い。

期限直前の相談では、
できることが大幅に限られます。
選択肢が残っていないまま、
不利な条件で進めるしかない場面も出てきます。
「こんな段階で聞いていいのか」
「まだ小さな話だから」と感じて、
相談のハードルを上げてしまう方も多い。
でも、小さな話だと思っている段階が、
一番手を打ちやすいタイミング
だったりします。
判断の先送りは、現状維持のコストを
払い続けることと同じです。
似たパターンが、税理士の変更でも起きます。
今の顧問に不信感を抱いていて、
変えたいとは思っている。
でも「申告が終わってから」「年度が変わってから」
と先送りしているうちに、
気づけば次の申告期限が目の前に迫っている。
結果、また同じ税理士に頼むしかない、
というケースは少なくありません。
動き始める前、迷っている段階。
そこが、一番価値のある相談のタイミングです。

遅い会社の共通点③顧問料を「コスト」として見ている

「顧問料がもったいない」と感じている経営者は、一定数います。
気持ちはわかります。
月々の固定費として見れば、
削れるものに見えてしまう。
でも、少し見方を変えてほしいのです。
届出一つの出し忘れで
数十万円の損が生まれることがあります。

融資のタイミングと使い道を適切に設計できれば、
利益に直結する投資が動き出すこともあります。
起業当初から顧問をつけて、
そのサポートを活用しながら
事業を大きく伸ばしてきた経営者を、
私は何人も見てきました。
コストとして削るか、投資として使うか。
同じ金額でも、
使い方次第でリターンはまったく変わります。
顧問料を投資として見られているかどうか。
ここが、相談を早くできる経営者と
そうでない経営者の、
根本的な違いだと思っています。

経営者は、一人で抱えすぎている

中小企業の経営者には、
本当に経営の相談相手がいません。
社員には言えないこと、
家族には難しいこと、
金融機関には見せたくないこと。
そういう話が、どこにも行き場を持てないまま、
経営者の頭の中に積み上がっていきます。
私自身も事務所を経営してきたので、
この感覚はよくわかります。
判断を迫られる場面で、誰かに壁打ちしたい。
でも気軽に話せる相手がいない。
そういう瞬間が、経営にはたくさんあります。
税務・財務の領域に限れば、
顧問税理士はその相談相手になれます。
各業界の市場動向や競合の動きまでは、
さすがに私には分かりません。
でも、どう資金を引っ張るか、
税務上どう処理するか、
財務の数字をどう読むか

この領域で一緒に考えることはできます。
経営は、一人で全部やろうとしなくていい。
頼れる部分は頼った方が、
結果的に会社は強くなります。

今日できること

難しいことは何もありません。
「まだ確定していないけど、
ちょっと聞いてもいいですか」
この一言を、今日、税理士に送ってみてください。
決まってから報告するのではなく、
迷い始めた段階で相談する。
それだけで、打てる手の数が変わります。
届出ひとつで数十万円変わることがある。
融資の設計ひとつで、
投資の選択肢が広がることがある。
これはどちらも、
早めに動いた会社だけが手にできた結果です。
顧問税理士がいる意味は、
申告書を受け取ることではなく、
判断の前に一緒に考えてもらえることです。
その価値を、ぜひ使い切ってほしいと思います。


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この記事を書いた人

新美 敬太のアバター 新美 敬太 代表税理士

「経営を楽しむ」という想いを大切に、日々経営者の皆さまと向き合っています。
税務・会計だけでなく、同じ目線で悩みや挑戦を共有しながら、一緒に考え、進んでいくことを大切にしています。
私自身も一人の経営者として、まだまだ成長の途中です。
だからこそ、うまくいくことも、迷う時間も、すべて含めて寄り添える存在でありたいと思っています。
経営の中にある楽しさや可能性を感じていただけるように。
これからも、皆さまと一緒に歩んでいきます。

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