
こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
「社内の表彰制度で、頑張ったスタッフに
豪華な宿泊をプレゼントしたい」
こういう相談、けっこうあります。
すごくいい取り組みだと思います。
でも、本質はここです。
やるのはいい。
経費にもなる。
ただ、もらったスタッフに給与課税がかかる。
「課税されるならやめよう」
と感じる方もいますが、それはもったいない。
仕組みを正しく理解した上で設計すれば、
会社にとっても、スタッフにとっても、
意味のある制度になります。
給与の非課税は「列挙されたものだけ」という大原則
そもそもの話をしておきます。
税法上、給与として課税されないものは
限定列挙されています。
つまり、法律に「これは非課税」
と書いてあるものだけが非課税。
それ以外は、原則として課税される。
「なんとなく現金じゃないから大丈夫では」
という感覚は、ここで崩れます。
モノでも、体験でも、権利でも。
会社からスタッフへの経済的利益は、
非課税と明記されていない限り、
給与課税の対象になります。
この大原則を頭に入れておくと、
「これは課税されるのか」という判断が
ずっとしやすくなります。
非課税として認められているものは何か
国税庁が明示しているルールの中で、
表彰・記念品に関係するものを整理します。
創業記念品の場合、以下の条件を
すべて満たせば非課税です。
- 社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること
- 処分見込価額が1万円以下であること
- 5年以上の間隔で支給するものであること
永年勤続表彰の記念品・旅行招待の場合は、
以下の条件が必要です。
- 勤続年数や地位に照らして社会一般的に相当な金額であること
- 勤続10年以上の人を対象としていること
- 同じ人を2回以上表彰する場合は、前回から5年以上の間隔があること
条件が細かい。
そして、商品券や本人が
自由に選べる記念品は全額課税
と明記されています。
「現金じゃないから」は通用しない点は、
ここでも同じです。
なお、旅行券は換金性があるため
原則は課税対象ですが、
永年勤続表彰に限り、
1年以内に実際に
旅行し・報告書を提出し・未使用分は返還する
という条件を満たせば
非課税になる特例があります。
ただしこれはあくまで
勤続10年以上の永年勤続表彰に限った話です。
なぜ表彰の宿泊は課税されるのか
社内表彰でMVPを選んで宿泊を贈る。
これは税務上、成績優秀者への報酬
とみなされます。
現金か、モノか、体験か。形は関係ありません。
働いた対価として渡したものは、
給与課税の対象になります。
冒頭の大原則に戻ります。
非課税として列挙されたものに
当てはまらない以上、課税される。
それだけの話です。
ここで一つ、よく出る疑問があります。
「家族で使ってもいいですか」という声です。
答えはシンプルです。
課税すれば、給与として処理された以上、
誰が使おうと問題ありません。
課税の根拠は「会社から経済的利益を受けた」
という事実であり、
その後に誰が使うかは関係ない。
本人だけで行っても、家族全員で行っても、
税務上の扱いは変わりません。
きちんと課税さえすれば、
使い方は本人の自由です。
実際にいくら課税されて、どう設計すればいいか
具体的に数字で見てみましょう。
リゾートホテルの宿泊費を20万円と仮定します。
受け取ったスタッフの所得税率が20%、
住民税率が10%だとすると、
負担する税額はおおよそ以下の通りです。
- 所得税:20万円 × 20% = 4万円
- 住民税:20万円 × 10% = 2万円
- 合計税負担:約6万円
20万円の宿泊体験をもらって、
自分で6万円を納税しなければならない。
これでは、せっかくのプレゼントの
ありがたみが薄れてしまいます。
だから、スタッフが負担する税金も、
会社が肩代わりする形で設計するのもありです。
宿泊費20万円+税負担相当6万円
=26万円を会社が負担するイメージです。
こうすることで、
スタッフは手出しゼロで体験を受け取れる。
会社側は26万円が経費になる。
もらう側も、あげる側も、
すっきりした設計になります。
「課税されるからやめよう」はもったいない
給与課税と聞くと、
やめた方がいいのかと感じる方もいます。
でも、整理するとこういうことです。
- 会社の経費になる
- スタッフは特別な体験をもらえる
- 家族で使えるなど使い方も自由
- モチベーションアップにつながる
課税されること自体は、賞与と同じ構造です。
現金で賞与を渡しても課税される。
それと変わりません。
課税=ダメな制度、ではない。
問題があるとすれば、
課税される事実を
スタッフが知らないまま実施してしまうこと。
事前に「この宿泊は給与として処理されます」
と伝えた上で、
税負担も会社が持つ設計にしておく。
それだけで、制度として十分機能します。
換金性のない物品なら話が変わる
渡すものが換金性のない物品であれば、
非課税で処理できる可能性があります。
国税庁のルール上、
商品券や本人が自由に選べる記念品は
全額課税ですが、
会社が選んだ換金できない物品は、
条件を満たせば課税されません。
「宿泊体験」ではなく「記念の品」
として渡す場合は、この観点も選択肢になります。
ただし、高額なものは「相当な金額」かどうかを
問われる点には変わりありません。
今日できること
社内表彰にご褒美を設けようと考えている方は、
「課税される前提で、
税負担も会社が持つ設計にする」
この一点だけ意識しておいてください。
課税さえきちんとすれば、
スタッフは家族と一緒に使うこともできる。
会社の経費にもなる。
スタッフのモチベーションも上がる。
やって損のない取り組みです。
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