決算書が読めない本当の理由は、数字が苦手なせいじゃない

こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

「決算書、正直よくわからなくて」
という経営者は多いです。
渡されても眺めるだけ。
どこを見ればいいかわからない。
数字が苦手だから仕方ない、
と思っている方も少なくありません。
実は、決算書をきちんと読める人は
専門家の中でも意外と少ない。
ましてや「どう見ればいいか」
を経営者にわかりやすく伝えられる専門家は、
もっと少ない。
だから、そこに答えられる存在が
求められています。
でも、本質はそこではありません。
決算書が読めない本当の理由は、
数字が苦手なせいじゃなく、目標がないからです

「数字が苦手」は本当の原因じゃない

決算書が読めない、という相談をよく受けます。
たいてい「数字が苦手で」という話になる。
でも、決算書を読むのに計算能力はいりません。
必要なのは、
何を見るべきかを知っていることだけです。
読み方の本を何冊読んでも、
使えている感じがしない。
その原因は、読み方を知らないのではなく、
何のために読むかが
定まっていないことにあります。

問題とは「目標と現状のギャップ」のことだ

そもそも、なぜ決算書を読むのか。
問題を早期に発見し、改善するためです。
では、問題とは何か。
目標と現状の差のことです。
目標がなければ、問題は見えません。
業界平均と比べてみても、
「上か下か」くらいしかわからない。
ぼんやりした感覚で終わります。
数字で差を掴んで初めて、
「問題」は行動に変わります
決算書を読める人というのは、
計算が得意なわけではありません。
「この会社ならこれくらいの数字であるべき」
という目標が頭の中にあるから読めるのです。
理想と現実の違和感を、ずっと探し続けています。

まず決めるべき数字は2つだけ

全ての数字に目標を立てようとすると、
何もできなくなります。
まず決めるべきは2つだけでいい。

  • 現預金をいくら持ちたいか
  • 純資産をいくらにしたいか

会社が潰れる原因は1つです。
現預金が尽きること。
これを回避することが、
経営者にとって何より重要です。
現預金の目安としてよく使われるのは、
月商の3ヶ月分です。
月の売上が1,000万円なら3,000万円。
もう一つの目安が固定支出の6ヶ月分です。
家賃・人件費・借入返済など、売上がゼロでも
毎月必ず出ていくお金の6ヶ月分を
手元に持っておく考え方です。
固定支出が月500万円なら3,000万円。
これを下回り始めたら、
資金繰りに黄色信号が灯り始めるイメージです。
ただしこれはあくまで出発点の目安です。
最終的には、
精緻な損益計画とそれに連動した資金繰り計画を
元に目標を導くことが理想です。
売上の季節変動、借入の返済時期、
設備投資のタイミング。
これらを織り込んで初めて、
自社に合った現金目標が見えてきます。
まずは目安から始めて、精度を上げていく。
その順番で考えるといいと思います。
なお、純資産の目標額は
出口戦略によって変わります。
M&Aで売却するなら高めるべきだし、
親族や従業員に承継するなら
別の考え方が必要です。
この話はまた別の記事で詳しく書きます。

売上・利益は、ゴールじゃなく手段だ

多くの経営者は、
売上目標と利益目標を持っています。
それ自体は悪くない。
でも、売上が上がっても
現金が増えないことがあります。
利益が出ていても、
資金繰りが苦しいことがある。
なぜか。
売上も利益も、
現金を増やすための手段に過ぎないからです
PLはいわば「活動の記録」です。
頑張った証拠にはなる。
でも、会社が潰れるかどうかはBSで決まります。
現預金が尽きたとき、
利益が出ていても会社は終わります。
最大の目的は現金と純資産を増やすこと
売上・利益・借入はそのための手段。
この順番を間違えると、PLばかり追いかけて、
気づいたら資金繰りが苦しくなっていた、
という事態になります。
ただし、現金を増やすというのは
言葉にすると単純ですが、
実際は奥が深い。
利益を出せば現金が増えるかというと、
そう単純でもない。
借入のタイミング、売掛金の回収サイト、
設備投資の判断。
あらゆる経営判断が現預金の動きに影響します。
「現金を増やす」には、
これといった正解がありません。
だからこそ、
まず目標を持つことが出発点になります。

目標が決まれば、次にやることが見える

顧問先に目標設定を促すのは、
言葉にすると簡単です。
でも実際は、ヒアリングで
目標を炙り出すのが一番難しい
「現金をいくら持ちたいですか」と聞いても、
すぐ答えられる経営者は多くない。
そもそも考えたことがない、
という方も少なくありません。
目標が曖昧なまま経営している方が、
思った以上に多い。
ただ、目標さえ決まれば話は早いです。
現金の目標を3,000万円に設定して、
今の残高が1,800万円なら、
1,200万円足りないという問題が即座に見えます。
そうなると次に何をすべきかが、
自然に見えてくる。
資金調達すべきなのか、売上をあげるべきなのか、経費を削減すべきなのか。
目標があれば、決算書は答え合わせになり、
行動すべきことも見えてきます。

今日できること

決算書を開く前に、まず1つ答えてみてください。
現金をいくら持ちたいか?
月商の3ヶ月分でも、
固定費の6ヶ月分でも構いません。
まず自分なりの数字を決める。
その数字と今の残高を見比える。
それだけで、決算書の見え方は変わります。
比率や読み方を覚えるのは、
その後で問題ないです。
目標があれば、難しい知識がなくても、
決算書は経営の道具になります。
数字が苦手かどうかより、目標があるかどうか
そこが経営の出発点です。

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