戦略より人が先。”組織ありき”の経営をやめない理由

こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

「まず戦略を描いて、それに合う組織を作る」
そういう経営の話を
聞いたことがある方も多いかと思います。
僕も影響を受けました。
だから一時期、そのやり方をやろうとしました。
でも、うまくいきませんでした。

教科書は「戦略が先」という

経営学に「組織は戦略に従う
という有名な言葉があります。
アメリカの経営学者チャンドラーが
提唱した命題で、
「まず戦略を決め、それを実行できる組織を作れ」という考え方です。
理屈はわかります。正しいとも思います。
大企業や、本当に優秀な経営者なら、
これができる。
ゴールを描き、逆算して、
必要な人材を揃え、組織を動かしていく。
教科書的には、それが王道です。
でも、13名の税理士事務所を
7年運営してきた僕の感覚は、少し違います。

戦略に人材を合わせるのは至難の業

「戦略に合う人材を採り続ける」
のは、至難の業です。
採用には時間がかかる。育成にも時間がかかる。
そもそも「この戦略にぴったりの人」
が採用市場にいるとは限らない。
中小企業の採用は、
大企業のように母数が集まりません。
結果として多くの中小企業は、
意識しているかどうかに関わらず、
「今いる人でできる戦略」を選んでいます
戦略に組織を合わせるのではなく、
組織に戦略が引っ張られている状態です。
これは恥ずかしいことでも、負けでもない。
むしろ、現実を見た経営判断だと思っています。

財務サポートの話

具体的な話をします。
僕は開業当初から、融資や財務の重要性
ぼんやりと感じていました。
でも自分にそのノウハウがなかった。
勉強はしました。本も読みました。
セミナーにも行きました。
それでも「強みと言える」水準には、
でも、なかなか届きませんでした。
転機は、金融機関出身者が
メンバーに加わったことです
それまで何年かけても
積み上げられなかった財務の知識と実務力が、
一気に入ってきました。
銀行交渉の経験、融資審査の視点、
財務分析のリアルな感覚。
そこから財務に関するサポートメニューが
一気に広がっていきました。
戦略を変えたわけではありません。
メンバーが変わったことで、
できることの幅が変わった
結果として、戦略も進化した。
これが「人ありき」のリアルです。

オンライン専門という戦略の中で

うちの事務所はオンライン専門
という戦略を持っています。
この骨格は開業当初からありました。
でも「オンラインでどこまでできるか」の中身は、
メンバーが増えるにつれて変わっています。
得意分野が違う人が入れば
対応できる業種が広がる。
デジタルツールに強い人が入れば
業務の精度が上がる。
「オンライン専門」という方向性はブレていない。
でも、その深さと強みは、
メンバーによって毎年更新されています。
戦略という骨格はある。
でもその骨格に肉をつけていくのは、人です

戦略を否定しているわけではない

ここで一つ、誤解のないように言っておきます。
戦略は大切です。
必要ないと言いたいわけではありません。
方向性がなければ、
組織はバラバラに動いてしまう。
ゴールがなければ、判断の軸も生まれない。

ただ、戦略に縛られすぎるとうまくいかない
のも事実です。
僕が経営するうえで最も意識していることは、
二つです。
今のメンバーでどのような戦略なら
力を最大化できるか。
そして、今のメンバーが満足できるか
この二つを軸に置くと、
戦略は「固定された正解」ではなく、
「メンバーと一緒に育てていくもの」
に変わります。
縛られるのではなく、柔軟に使いこなす
それが、中小企業における戦略との
正しい向き合い方だと思っています。

戦略は変わっていい。変わるに決まっている

「5年後・10年後の戦略」
を今の時代に描き切れる経営者は、
ほぼいないと思っています。
環境も、市場も、メンバーも、毎年変わる。
だから戦略が変わること自体は、
失敗ではありません
僕自身、経営学の理論や著名な経営者の言葉に
引っ張られすぎた時期がありました。
「こうあるべき」という型に
自分の経営を当てはめようとして、
判断が鈍くなった。
大事なのは型ではなく、
自分と自分の組織が満足できて、
利益を出せているかどうかです。
それさえ満たせているなら、
教科書と違っていても構わない。

ただし、根幹だけはブレない

一つだけ、変えてはいけないものがあります。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。
戦略は変わっていい。手段も変わっていい。
でも「なぜこの事業をやっているのか」
「何を大切にしているのか」という根っこは、
ブレてはいけない。
ここがブレると、メンバーも迷い、採用の軸も、
サービスの方向性も全部ぼやけていく。
戦略は柔軟に。根幹は固く。
この両立が中小企業の経営には必要です。
MVVについては、また別の記事で詳しく書きます。

今日できること

自分の今の戦略を、
一度だけ問い直してみてください。
「この戦略、
今のメンバーは納得して動けているか?
今いるメンバーの中に、
まだ活かしきれていない強みが眠っていないか。
うちは一人のメンバーの存在で、
サービスの幅が一気に変わりました。
戦略を変えたのではなく、
人を活かしたことで戦略が育った。
戦略より先に、人を見る。
そのまなざしが、
経営を前に進める一番の近道かもしれません。

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