こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
「税理士さんって、経営のプロですよね?」
クライアントからよく言われます。
毎日、企業の数字を見ている。
資金繰りの相談に乗っている。
節税・決算・経営判断…核心に触れている。
でも、正直に言います。
税理士が、自分の経営を一番苦手にしていることが多い。
これ、笑い話ではありません。
そして、税理士だけの話でもないんです。
専門家として起業する人が陥る構造
ゼロから起業する人のほとんどは、何かの専門家です。
料理が好きで飲食店を開く。
技術があってIT会社を作る。
腕に自信があって独立する。
この入り口は、何も間違っていません。
専門性があるから、起業できる。
専門性があるから、お客さんがつく。
でも、開業した瞬間に求められるのは
「専門性」だけじゃなくなります。
飲食なら、味だけでは回らない。
仕入れ、価格設定、集客、資金繰り。
技術者なら、品質だけでは売上は作れない。
誰に売るか、いくらで売るか、どう届けるか。
でも多くの人は、得意なことに集中し続けます。
それが自然だからです。
それが楽しいからです。
気づいたら、経営が後回しになっている。
税理士でさえ、そうなる
先ほどの話に戻ります。
税理士は、クライアントの経営数字を毎日見ています。
「この売上水準では厳しい」
「利益率を改善しないと」
「このままでは3年後に資金が枯渇する」
他人の経営には、こういう言葉がすらすら出てくる。
でも、自分の事務所に同じ目を向けられているかというと、
全然できていないことが多い。
人の経営を分析することと、
自分で経営を動かすことは、 まったく別のスキルなんです。
サッカーの解説者が、試合に出られるとは限らない。
それと同じです。
経営者視点がないと、こんなことが起きる
専門家の視点のまま経営を続けると、
具体的にこういうことが起きます。
新しいことにチャレンジできない。
今のやり方で食えているから、変える必要を感じない。
でも、現状維持は後退と同じです。
市場は動いている。
クライアントのニーズも変わっている。
「今のやり方」を疑えない。
専門家として正確にこなすことに集中するあまり、
そもそもこのやり方でいいのか、という問いを立てられない。
ここで大事な視点があります。
成功率を上げようとすると、チャレンジの数が減ります。
ミスを減らす。確認を増やす。リスクを排除する。
この発想だけだと、新しいことをやらなくなる。
新しいことをやらない事業は、少しずつ縮んでいきます。
経営者に必要なのは、成功率を追いかけることより、
チャレンジの量を増やすこと。
失敗も増えるけど、成功の数も増える。
これが、事業が伸びていくときの基本的な構造です。
経営者の目に切り替えるための問い
じゃあ、どうすればいいのか。
難しいことではありません。
自分のビジネスに、経営者の目で問いを立てるだけです。
今の売上水準で、本当に大丈夫か。
このサービスの価格は、適正か。
3年後、どんな事業にしたいのか。
今やっていることは、その未来につながっているか。
職人として仕事をしているときは、
こういう問いが頭に浮かびません。
目の前の仕事を丁寧にこなすことに集中しているからです。
でも経営者には、この問いを自分に投げかける時間が必要です。
うちの事務所も、正直まだできていない部分があります。
それでも、問いを立てているかどうかだけで、
事業の見え方はまったく変わってきます。
自分の価値を、正しく値付けする
経営はボランティアではありません。
利益を出すことが、経営者としての責任です。
でも、多くの専門家出身の経営者は、ここが甘くなりやすい。
「値上げしたら離れてしまうかもしれない」
「自分の仕事にそこまでの価値があるのか」
この感覚は、職人としては誠実です。
でも、経営者としては危険です。
安く売り続けることは、謙虚さではなく、
自分の価値を自分で下げる行為です。
自分のサービスが、お客さんのどんな問題を解決しているか。
その問題が解決されないと、どんな損失が生まれるか。
そこから逆算して、価格を考える。
そして損益計画を立てる。
少なくとも直近1年。
売上・原価・固定費・利益。
「なんとなく大丈夫だろう」ではなく、数字で確認する。
感覚ではなく、数字で経営する。
これが、専門家から経営者に切り替わる、
一番大きなステップだと思っています。
「職人」から「経営者」へ、今日から一歩踏み出す
起業した瞬間、あなたは経営者になります。
でも、頭の中がすぐに切り替わるわけじゃない。
専門家として腕を磨くことと、
経営者として事業を動かすことは、 まったく別のスキルです。
税理士でさえ、自分の事務所経営で詰まる。
料理人でさえ、飲食店経営で行き詰まる。
これは珍しいことでもなく、恥ずかしいことでもない。
専門家が起業するときに、ほぼ必ず通る構造的な問題です。
だからこそ、今日一つだけやってみてください。
自分のサービスの価格を見直してみる。
値上げするかどうかではなく、
「この価格は、自分が提供している価値に見合っているか」
という問いを立てるだけでいい。
その問いに向き合えた瞬間、
職人ではなく経営者として動いています。
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