こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
確定申告の繁忙期が終わった瞬間、
毎年同じことを思います。
「終わった……」 その達成感は本物です。
でも翌年、また同じところで詰まる。
スケジュールの組み方、
顧客への案内のタイミング、
資料の保存ルール。
「あ、これ去年も困ったやつだ」と気づく。
でも、本質はここにあります。
終わった業務こそ、最強の改善素材です。
なぜ人は改善しないのか
繁忙期の真っ只中、
こういう言葉が頭をよぎります。
「来年はもっと早く案内を出そう」
「このフォルダ管理、絶対に変えた方がいい」
「この作業、もっと仕組み化できるはずだ」
気づいている。問題も見えている。
でも繁忙期が終わると、達成感が来る。
そして記憶が薄れる。
実はこれ、意志力の問題ではありません。
心理学に「ツァイガルニク効果」
という概念があるそうです。
人間は完了したことの記憶は急速に薄れ、
未完了のことほど強く残る性質を持っています。
繁忙期が終わって達成感を得た瞬間、
脳は「終わった」と判断し、
そこで感じた課題を手放してしまう。
改善できないのは意志が弱いのではなく、
脳の仕組みとして自然な反応なのです。
だからこそ、
意識的に「拾いに行く」仕組みが必要になります。
終わった業務には「答え」が詰まっている
繁忙期中に出てくる問題は、
すべてリアルな課題です。
架空のケーススタディではない。
自分たちが実際に困ったこと、
詰まったこと、時間を取られたこと。
スケジュール管理がうまくいかなかった。
顧客への案内が遅れた。
資料の保存ルールがバラバラで
探すのに時間がかかった。
これは全部、
そのまま改善テーマになる一次情報です。
コンサルタントにお金を払って
「課題を洗い出してください」
と依頼することもある。
でも自分たちが繁忙期に経験したことは、
誰よりもリアルな現場の課題そのものです。
これをそのまま流すのは、
授業中に気づいたことをメモせず、
ノートを捨てるようなもの。
非常にもったいないです。
ほとんどの組織がやっていない、だから差がつく
PDCAという言葉は、
多くの組織で使われています。
でも実際に回っているかというと、別の話です。
Pを立てて、Dをする。
ここまでは、たいていの組織がやっている。
問題はC(振り返り)とA(次への組み込み)です。
経営の現場では
「PlanとDoまでは実施できているが、
CheckやActionに進めない」
という状況が非常に多いです。
理由はシンプルで、
繁忙期が終わると次の仕事が来る。
振り返りよりも目の前の業務が優先される。
そして改善はいつも
「やろうと思っていたこと」のまま、
また翌年を迎えます。
CheckやActionをしなくても、
仕事自体は回ってしまうのが
PDCAの最大の落とし穴です。
ここで参考になるのが、
トヨタのカイゼン文化です。
製造業で生まれたこの
「やりっぱなしにしない」習慣は、
今や物流・小売・サービス業にまで広がり、
業種を問わず通用する
原則として認識されています。
小さな振り返りを積み重ねることが、
長期的な組織の強さになる。
税理士業も、飲食業も、建設業も、
原理は同じです。
裏を返すと、
ここをやり切るだけで組織の差になります。
具体的にどうやるか――うちの事務所の場合
うちでは数年前から、
確定申告を「プロジェクト」として組成し、
担当メンバーを置く体制にしました。
毎年少しずつブラッシュアップされ、
回り方は確実によくなってきました。
ただ、一つ課題がありました。
繁忙期が終わると
プロジェクトをすぐ解散してしまっていた。
達成感で終わり、
改善が薄いまま翌年を迎えていたのです。
今年から変えました。
繁忙期が終わってもすぐ解散せず、
改善のための打ち合わせを重ねる。
メンバーで
「よかったこと・困ったこと・来年変えること」
を言語化し、
それを業務ルールやマニュアルに反映させる。
まだ始めたばかりです。
でも、少しずつ動き方が変わってきています。
ポイントは「終わった直後」にやること。
ツァイガルニク効果の裏を使う発想です。
まだ記憶が鮮明なうちに言語化する。
時間が経てば経つほど、
課題の解像度は落ちていきます。
難しい仕組みはいりません。
繁忙期が終わった直後に、
30分だけ振り返りの場を設ける。
それをそのまま
業務マニュアルや社内ルールに反映させ、
翌年の繁忙期が始まる前に見返す。
たったこれだけのサイクルです。
改善できる組織の、たった一つの違い
改善できる組織と、できない組織。
能力の差でもセンスの差でもない。
終わった業務を
「素材」として扱えるかどうか、だけです。
振り返りを習慣にした組織は、
毎年少しずつ繁忙期が楽になっていく。
振り返らない組織は、毎年同じ場所でまた詰まる。
この差は1年では小さい。
でも5年、10年で大きく開きます。
業務設計の質は、
繁忙期の後にこそ決まると考えています。
来年の自分に、何を残すか
今、頭の中にある「あれ、来年は変えたいな」
を一つだけ書き出してください。
ツールは何でもいいです。
スマホのメモでも、手帳でも。
書いたものを、捨てないこと。
そして繁忙期の終わりに、
30分だけ振り返りの場を設ける予定を今日入れる。
改善できる組織は、
そういう小さな積み重ねからできています。
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