借入よりも怖かった「初めての給料日」。私が小心者な経営者を肯定する理由。

こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

普段は税理士として多くの経営者と向き合っていますが、
今日は専門家としてではなく、
一人の「ビビりな経営者」としての本音を書きます。

借入よりも怖かった「初めての給料日」。
私が小心者な経営者を肯定する理由。

経営者は外から見ると強そうです。
決断が早くて、堂々としていて、肝が据わっているように見える。
でも実態は、たぶん逆です。
多くの経営者は驚くほど小心者です。僕もそうです。
ただ、これは弱さの話ではありません。
小心者になるのは、責任を背負っている以上、当たり前です。

経営者は「踏み出した人」なのに、なぜあんなに細かいのか

起業すると「すごいですね」と言われます。
借入をして、採用をして、固定費を抱えて前に進む。
確かに“一歩踏み出した人”です。
でもその一方で、経営者は本当に細かいところまで気にします。
メールの一言、返信の速さ、言い回し、
相手の温度感、契約書の一文、スタッフの表情。
たぶん、それだけ研ぎ澄まされているんだと思います。
そして研ぎ澄まされているからこそ、
会社って、そういう小さな違和感から崩れることもあります。
それに、信頼関係は築くのが大変なのに、失う時は驚くほど簡単です。
ほんの一言、ほんの一手間の抜けで、ガクッと落ちることがある。
だからこそ、経営者は細かくなるんだと思います。

昔の僕は「気にしすぎじゃないですか?」と思っていました

勤務していた頃、前職の代表を見て
「細かいな」「そこまで神経使う?」と正直思っていました。
税理士として経営者の方と話していた時も、
「そこは割り切って進めたらいいのに」と感じていました。
今思えば生意気です。
でも起業して分かりました。
気にしているのは性格ではなく、責任の重さだということを。

一通の返信が命運を分ける。「新規対応」は生命線でした

僕が特に腹落ちしたのは、新規顧客対応です。
勤務時代はどこかで
「新規は仕事が増えるな」
「ちゃんと対応してくれないなら相手が悪い」
そんな目線もありました。
でもこれは完全に間違いでした。
集客で顧客が増えることは、事業成長の生命線です。
新規は初めてのやり取りで、不安も期待も大きい。
だから、早く・丁寧に・細やかにが必要です。
資料をお願いして返事がないなら、こちらからもう一度聞く。
昔の僕なら「そこまで?」と思ったはずですが、今は違います。
新規は期待値が一番高い瞬間だからです。
ここで雑だと「この事務所大丈夫かな」で終わる。
丁寧だと信頼が積み上がる。
会計事務所としての視点を少し足すと、
新規1件は単なる売上ではありません。
LTV(生涯価値)の入り口で、雑にするのは
穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
経営者として、その「穴」が怖いんです。
ただし、過剰サービスとは違います。
無限に時間を使うのではなく、線引きは必要です。
それでも最初の入り口で、「ちゃんと見てくれている」
という安心感を作る。
ここは経営上、本当に重要でした。

背負うものの正体は、お金より「人」でした

もちろん借入の契約も重いです。
専門家として構造は理解していても、
返済が始まると根っこにずっと負荷が残ります。
でも僕が「うわ、背負ってる」と本気で腹落ちしたのは、
初めて支払った給料日でした。
通帳を開いて数字が減っていく。
たったそれだけで胃がキュッとなる。
「これ、僕が払ってるんだ」
「ここは絶対に止められないんだ」
さらに今は賃上げが避けられません。
物価が上がり、最低賃金も上がる。
つまり賃上げが“前提”になっていく。
経営者は給料を払うだけでなく、
賃上げも決めていく必要があります。
その先には従業員の生活があり、家族がいます。
だから経営者は怖いんだと思います。
お金が怖いというより、人の人生がかかっているのが怖い
そして、これは言い方を選びますが、
この「怖さ」を感じられない経営者は、
従業員も顧客も大切にしきれないと思っています。
逆に、伸びていく経営者ほど、怖さをちゃんと持っている
怖いからこそ、丁寧になれるし、守れるし、決められるからです。

経営者が強そうに見えるのは、余裕があるからじゃない。
そう振る舞わないと回らないからです。
内側はずっと不安だし、怖い。
それでも決めて進めるしかない。
つまり経営はこれです。
怖いまま、決める

「小心」と「臆病」は別物です。小心は武器になります

小心はマイナスに聞こえますが、
経営では必ずしも悪ではありません。
小心=慎重・リスク管理・最悪想定
これはむしろ「強さ」です。
一方で、似ているけど違うのが臆病です。
臆病=怖くて動けない・決められない・先延ばし
これは「停滞」です。
だから必要なのは気合いではなく、やり方です。
例えば、

  • まず小さく試す
  • 期間を区切る
  • 最悪こうなったら撤退、と先に決めておく
  • 使うお金や時間の上限を決めておく

こうやって「怖さ」を小さく分解して、扱える形にする。
小心だから最悪を想定できる。
想定できるから、手順を作って動ける。
ここが経営者の強さだと思います。

もし今、不安を抱えているなら

小心でいいです。
細かくていいです。
怖くていいです。
むしろ健全です。

そのうえで大事なのは、怖さを消すことではなく、
怖いまま前に進める形にすることだと思います。
いきなり大勝負じゃなくていい。
小さく試して、確かめて、次の一手を決める。それで十分です。

経営者のそばにいる人に伝えたいこと

経営者ではない方にも伝えたいです。
あなたの代表もあなたの顧客も、たぶん同じ感情を抱えています。
それを理解した上で話せるだけで、仕事の質は一段階上がります。
士業でも、営業でも、管理職でも、コンサルでも、金融機関でも。
経営者を相手にする仕事は、立場に立てるかが勝負です。
正解を言える人は多い。
でも背景まで理解して話せる人は少ない。
だからそこが価値になります。

小心のまま、前へ

経営者が細かいのは弱さではありません。
背負っているからです。
背負っているから怖い。
怖いから小心になる。
でも、その小心を武器にして、
丁寧に設計して動ける人が伸びます。

そんな「小心な経営者」の隣で、一緒に最悪を想定し、
安心して一歩を踏み出せるための伴走者でありたいと思っています。

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