
こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
「新人がなかなか仕事を出してこなくて…」
こういう相談、けっこう多いです。
話を聞くとだいたい原因は同じで、
完璧にしようとして止まっているんですよね。
完璧を求めないことは、教育として大切。
これは、甘やかしの話ではありません。
むしろ逆で、
組織を前に進めるための設計の話です。
新人の手が止まるのは、能力の問題じゃない
新人が仕事で止まるとき、
上司はついこう思います。
「まだ経験が浅いからだよな」
「もっと勉強が必要だよな」
もちろん、経験は関係あります。
でも現場で見ていると、
止まる原因はもっと生々しいです。
「間違えたら怒られる」
これです。
怖いから、出せない。
怖いから、寝かせる。
怖いから、80%で止める。
本人はサボっていません。
むしろ真面目で、責任感が強い。
だからこそ、完璧主義が発動して、
仕事が止まります。
「完了」は「完璧」に勝る
Done is better than perfect.
(完璧よりも、まず終わらせる)
完璧主義に陥って行動が止まるよりも、
まずは完成させて市場に出したり、
経験を積んだりすることが重要だという考え方で、
マーク・ザッカーバーグ氏(Meta社CEO)
の言葉です。
この言葉、ビジネスでは有名ですが、
教育でも本質です。
若手教育のゴールって、
スキルを上げること以上に、
まず「出す」を当たり前にすることです。
- 途中でもいいから出す
- 粗くてもいいから叩き台を出す
- 確認してもらう材料を出す
これができないと、仕事は進みません。
ここができると、仕事が回り始めます。
そして皮肉ですが、回り始めた人の方が、
結果的に精度も上がります。
出す→直る→学ぶ、が回るからです。
税理士として断言できる。正確さが毒になる瞬間がある
僕は税理士です。
正直、税理士の世界は「正確さが正義」です。
1円ズレたらダメ。
数字が合わないと、
仕事として成立しない部分もある。
例えば、記帳を依頼されているならなおさらで、
1円でも違えば、それはこっちのミスです。
これはダメ。
ただ、ここで話をややこしくするのが、
もう一つの現実です。
意思決定が遅れるのは、もっとダメ。
たとえば、100円の不明な支払いが1件ある。
それが気になって、ずっと手が止まる。
「これが分からないと締められません」
って言って、数字が出ない。
…これ、本末転倒なんですよね。
税金が変わるレベルの話でもない。
経営判断がひっくり返る話でもない。
でも数字が出ないせいで、判断が遅れる。
経営で怖いのは、
1円の誤差より、判断の遅れです。
新人はこの線引きが分からない。だから教育が必要
ここが、人事・教育のポイントです。
新人に「早く出して」と言うだけだと、
余計に怖くなります。
だって新人からすると、
- 正確さも求められる
- 速さも求められる
- でもどっちを優先すべきか分からない
こういう状態だからです。
新人が止まるのは、能力不足というより、
判断基準が未設定なんです。
だから、教育でやるべきはスキル研修より先に、
線引き(基準)を渡すことです。
教育でいちばん大事なのは「まず出す」をルール化すること
優しい声かけだけでは、現場は変わりません。
必要なのは、行動が変わるレベルのルールです。
たとえばこんなやつ。
- 30分悩んだら一回出す
- 70%でいいから提出
- 「仮です」と書いていい
- 不明点は別メモに切り出す(数字は先に出す)
- 結論→根拠→不明点の順で送る
こういう道があると、新人も動けます。
逃げ道に用に感じるかもしれませんが、
実態は推進力です。
仕事は2種類に分ける。混ぜると教育は失敗する
「全部正確にやれ」
これが一番まずいです。
仕事は2種類に分けた方がいい。
① 100点必須(ミスが事故になる仕事)
- 申告・届出など外部提出
- 請求・支払
- 期限やルールが絡むもの
ここは厳密でいい。
むしろ厳密じゃないと困る。
② まず出す(早さが価値になる仕事)
- 月次の速報
- 会議用の叩き台
- 相談の整理メモ
ここはスピード優先でいい。
後で直す前提でいい。
そしてさっきの100円の話は、ほぼこっちです。
不明点は潰す。でも数字は止めない。
この切り分けができると、
新人も動けるようになります。
「今はどっちの仕事か」が分かるからです。
完璧は武器。でも教育では壁になる
完璧は武器です。
ただしそれは、
使いどころを間違えると足かせになります。
教育では特にそう。
若手に最初に渡すべき正解は、
「完璧にしてから出せ」ではなくて、
「まず出す」です。
完璧は、あとから取りにいけばいい。
でも、止まる癖は、
ついたら取り返すのが大変です。
だからこそ、組織としてやるべきことは、
“まず出す”を正解にする基準設計。
ここが整うと、教育も、現場も、
驚くほど回り出します。
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