こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
「社長や役員の自宅を社宅にすると、
節税になるらしい」
こんな話を一度は聞いたことがある方も
多いと思います。
一方で、
「税理士にNGを出された」
「税務調査で否認されたって聞いた」
という声があるのも事実です。
社宅制度は、正しく使えばかなり強力ですが、
設計を間違えると一気にリスクになる
制度でもあります。
今日は、社長や役員が社宅に住む場合に
最低限押さえておきたいポイントを
整理して書いていきます。
結論|社宅制度は「名義」が9割
まず結論から。
社長や役員が社宅に住むこと自体は、
まったく問題ありません。
むしろ条件が合えば、僕はおすすめしています。
ただし、大前提があります。
その物件が「会社名義」であること。
これが崩れると、ほぼ確実にアウトです。
よくある勘違いが、次のパターンです。
- 社長個人で購入した自宅
- それを会社に貸す
- そのまま社長が住む
この方法は仕組みとして成立せず、
税務調査でも指摘されやすい典型的な間違いです。
正しい社宅の形とは?
社宅にするなら、次のどちらかが必要です。
- 会社が購入した物件
- 会社名義で借り上げた賃貸物件
「社長名義の物件」は、
その時点で社宅制度の対象外。
ここは本当に多い勘違いなので、
最重要ポイントです。
社宅制度のメリットとデメリット
社宅制度のメリットは、大きく3つあります。
- 会社が払う家賃を経費にできる
- 役員や従業員の可処分所得(手取り)が増えやすい
- 設計次第で社会保険料も下げられる
つまり、会社にも個人にもメリット
がある制度です。
だからこそ、ちゃんと理解したうえで
使ってほしいなと思っています。
もちろん良いことばかりではなく、
デメリットもあります。
一つ目は、社宅制度のルール(社宅規程)
を作る必要があること。
必須ではありませんが、作って周知しておくことで
税務調査の際の心証はかなり変わります。
二つ目は、キャッシュアウトが発生するという点。
賃貸でも購入でも、初期費用や毎月の家賃で
会社の現金は確実に減ります。
利益は出ていても、キャッシュが厳しい会社には
向かないケースもあります。
社宅でも家賃負担はゼロにならない
ここで一つ、大事な話です。
社宅だからといって、
役員や従業員が家賃を一切払わなくていい
というわけではありません。
最低限、個人が負担しなければならない
家賃が決まっています。
これを「賃料相当額」と呼びます。
ここはかなり重要なので、はっきり書きます。
「賃料相当額は家賃の50%くらい」
という説明をする税理士もいますが、
その理解は正確ではありません。
賃料相当額は、市場家賃の何割、
という考え方ではなく、
固定資産税評価額などをもとに計算されます。
(詳しい計算方法↓)
国税庁HP|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
きちんと計算すると、
家賃10万円
賃料相当額が3万円程度
というケースは、実務上かなり多いです。
「半分も払うなら意味ないよね」と思って
社宅を見送っている方は、
実はかなりもったいない可能性があります。
数字のイメージはこれだけでOK
細かい計算式は、
正直ほとんどの人は覚えなくて大丈夫です。
ざっくりしたイメージとしては、
- 通常の家賃:10万円
- 賃料相当額:3万円程度
この場合、
- 会社が大家さんに家賃10万円を支払う
- 本人は会社に賃料相当額の3万円を支払う
差額の7万円分が実質的に会社負担となり、
自分で借りるよりかなり安く住める、
という状態になります。
ただ、このままだと個人は3万円で
住むことができたけど、
会社が家賃を7万円負担している
という状態になります。
社会保険料が下がる仕組み
ここからは少しイメージしにくい部分ですが、
手取りに直結する重要な話です。
単に社宅に住むだけでなく、
役員や従業員の基本給を少し下げる
という設計を組み合わせることで、
社会保険料の削減につながります。
考え方はシンプルで、
「会社が家賃を負担して、その分基本給を下げる」
基本給が下がると社会保険料の等級も下がるし、
家賃は会社が払うので生活水準は
大きく変わらない。
結果として、
- 会社が払う社会保険料
- 個人が払う社会保険料や税金
この両方を下げることができます。
ただし、
ここをきちんと設計しないと、
会社だけが家賃を負担して終わり、
いわゆる「丸損」になるケースも普通に起こります。
個人的に思う、社宅制度の本質
これは完全に僕の個人的な感覚ですが、
社宅制度って「節税テクニック」だと思われすぎ
だなと感じています。
本質は、
- 役員や従業員の可処分所得を守る
- 会社が直接サポートする形を作れる
- 長く安心して働ける環境を作る
こういう、会社の仕組みの話だと思っています。
「とりあえず税金を下げたい」
「今年だけ使えればいい」
という発想だと、
導入コストや手間のほうが高くつくので、
正直あまりおすすめしません。
まとめ|社宅は「設計」がすべて
社宅制度は、知っているかどうかで
差がつく制度です。
ただし、
- 名義(絶対に法人名義)
- 給与設計
- 社会保険料の考え方
この3つを間違えると、
「思ったほど得していない」「税務署に否認された」
という結果になりがちです。
社宅は、入れるかどうかではなく、
どう設計するかがすべて。
数字より大事なのは、仕組みを作ることです。
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