法人融資は“2種類だけ”。複雑に見える融資の世界をいちばんシンプルに整理する


こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

法人融資について調べ始めた経営者がまず驚くのは、
「種類が多すぎて意味が分からない」という混乱だと思います。

ビジネスローン、制度融資、ABL、不動産担保融資。
名前が多すぎて、どれが何で、どう違うのかが分からない。

でもこれは仕方なくて、
世の中に並んでいる名称の多くは、
“融資そのものの種類” ではなく、
「商品名」や「入り口の名称」だからなんですよね。
そのせいで、初学者にいきなり大量の言葉が降ってきて混乱するわけです。

しかし実務では、融資の本質はとてもシンプル。
法人融資は、性質で分けると“たった2種類しかない”。

まずはここから理解するのが、いちばん安全で、実務にも直結します。
ここから丁寧に説明していきます。

法人融資の本質は「誰がリスクを負うか」で決まる

融資を分類する軸は、難しそうに見えて実は非常に単純です。
“お金を返せなくなったとき、誰が責任を持つのか?”

この視点で分類すると、融資はたった2種類。

1つ目は信用保証協会付き融資。
2つ目はプロパー融資(銀行が直接貸す融資)。

この2つを理解するだけで、融資全体の構造が一気にスッキリします。

信用保証協会付き融資

会社が返済できなくなった場合、
保証協会が銀行に代わって返済する仕組み。
そのため銀行側のリスクが小さく、創業期でも比較的利用しやすい。

ここで大事なのは、

入り口(窓口)は必ず「銀行」です。

銀行と言っても、都市銀行だけではなく、
信用金庫や地方銀行も含めた“金融機関”全体のこと。
保証協会が直接貸すのではなく、銀行で申し込み、
銀行が保証協会の保証を付ける形になります。

まだ実績の少ない企業がまず行うべき融資は、
まさにこの信金・地銀を介した保証協会付き融資です。

プロパー融資

保証協会を介さずに銀行が直接貸す融資。
銀行が100%リスクを負うため審査は厳しいですが、
通った時の対外的な信用価値は圧倒的です。

ゆくゆく大きな資金調達をしたい、金利交渉を有利に進めたい。
そんな会社は、最終的にプロパー融資が付く状態を目指すことになります。

借入の“入り口”は3つある

実際に借りるルートは次の3つ。

日本政策金融公庫
銀行での保証協会付き融資
銀行のプロパー融資

性質(2種類)と入り口(3種類)を分けて理解すると、
融資の全体像は一気に掴めます。

日本政策金融公庫とは?

ここで軽く触れておきます。

日本政策金融公庫(通称:公庫)とは、国が100%出資する
口座を持たない政府系の金融機関です。

民間銀行のように「儲けること」が目的ではなく、
銀行口座も存在せず、
“創業者や中小企業を支援し、日本の経済を底上げする”
ことを目的に運営されています。

特徴はシンプルで、

・創業融資に強い
・無担保・無保証でも対応しやすい
・民間より審査ハードルが低め
・スピードも早い

創業する人がまず最初に相談すべき金融機関が公庫です。
創業時の融資は、銀行よりも圧倒的に公庫の方が審査に通りやすいのは
このためです。

じゃあ、会社はどの金融機関とどう付き合うべき?

ここまで理解できたら、次は「実際にどう動けばいいか」です。
段階ごとに最適解があります。

● 創業するとき
まずは 日本政策金融公庫 を使って創業融資を受けるのが最短ルート。
実績ゼロの企業が民間銀行でいきなり借りるのは難しいので、
公庫がベスト。

● 創業から1〜2年、銀行取引がない場合
信用金庫・地方銀行 と関係構築を始める。
ここで保証協会付き融資を利用し、返済実績を積むことが大事。

創業期〜スタートアップは信金・地銀との相性が圧倒的に良いです。
担当者がつきやすく、相談にも乗ってくれます。
この段階で公庫での融資も可能です。

● 会社が黒字化し、財務が安定してきたら
プロパー融資を狙っていくフェーズ。
信金・地銀、そして商工中金などとの関係を強めると可能性が広がります。

● 設備投資や事業拡大など、大きな資金調達が必要な場合
このタイミングで、信金・地銀に加えて
メガバンクとの取引を検討する企業も出てきます。

ただし、ここは誤解しやすいポイントで、

億単位の融資を検討している、
もしくは将来的に上場を視野に入れている会社以外は、
無理にメガバンクとの取引を目指す必要はありません。

メガバンクは審査基準が非常に高く、
中小企業にとっては関係構築のメリットより
負担の方が大きいことがほとんどです。

むしろ、
信金・地銀・商工中金との関係を深めていく方が、
実務的にもスピード面でも圧倒的に現実的です。

スタートは信金・地銀、公庫。
成長したらプロパー。
この流れが最も自然で安全です。

【番外編】その他の融資は、実はこの2種類のどちらかに分類される

ここからは補足です。
文章の流れを壊さずにさらっとまとめています。

● ビジネスローン・法人カードローン
銀行やノンバンクがリスクを取るため、性質としてはプロパー融資。

● 不動産担保融資・ABL
担保の種類が違うだけでプロパー融資。

● 制度融資(自治体×金融機関×保証協会)
実態は保証協会付き融資の優遇版。
金利補助、保証料補助がつく。

● マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
日本政策金融公庫が持つ独自のプロパー枠。
無担保・無保証という破格の条件が特徴で、商工会議所の推薦が必要。

● 商工中金
銀行扱いなので基本はプロパー融資に分類。

今日のまとめ

法人融資は大きく分けると2種類だけ。
信用保証協会付き融資とプロパー融資です。

入り口は3つ。
公庫、銀行での保証協会付き、銀行プロパー。

細かい名称は多く見えますが、
実際にはこの2種類のどちらかにすべて分類できます。

融資は「困ったときの借金」ではなく、
経営を前に進めるための大切な金融インフラ です。
自社のステージに合わせて仕組みを正しく理解し、
最適なルートを選ぶことが、
資金繰りの安定にも成長にもつながります。

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