社長の経費を削っても、社員の給料は上がらない理由


こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

今日は少し誤解されやすいテーマを書いてみます。
社長がそんなに経費を使うくらいなら、
従業員に還元した方がいい
こういう意見は、気持ちとしてはよく分かります。
実際、僕自身も 従業員への還元はかなり大事 だと思っています。
ただ、この考え方をそのまま真実のように扱うのは
少し違うとも感じています。
なぜなら、従業員への還元 と 社長が使う経費 は、
似ているようで役割が違うからです。

給与は貢献への対価。ここは大前提です

まず最初に、ここははっきり書いておきたいです。
従業員への給与や賞与は、貢献に対する対価です。

頑張ってくれた。
価値を出してくれた。
役割を果たしてくれた。
だから支払う。

これは経営の大前提です。
感情で払うものでもないし、
何となくの雰囲気で決めるものでもありません。
一方で、還元すること自体が先行投資でもあると思っています。
長く働いてもらうこと。
成長できる環境を整えること。
安心して力を発揮できる状態をつくること。
これは全部、未来の会社を強くする行為です。
なので僕は、従業員への還元を軽く見るつもりはまったくありません

社長の経費は「社長戦略費」だと思っています

その上で、社長が使う経費の中には、
別の意味を持つものがあります。
僕の感覚では、これは単なる経費というより 社長戦略費 です。

情報収集。
移動。
学び。
人と会うこと。
発信。
環境整備。

こういうものは、その場で売上になるとは限りません。
むしろ、なぜこの経費を使うのかを
毎回きれいに定義できるわけでもない のが正直なところです。
でも、だから不要だとは思いません。
社長は、今ある仕事を回すだけではなく、
会社の少し先を見る役割があります。
そのために必要なお金は、やはりあると思っています。

現場にいるだけでは、入ってこない情報がある

ここはかなり大事だと思っています。
会社の中で日々仕事をしていると、
どうしても目の前の業務が中心になります。
それ自体は当然ですし、大事なことです。
ただ、社長はそれだけでは足りません。
現場の視力 と、経営の視点 は違います。
社内で100回会議をするより、
外で他社の社長と30分話したことで、
大きな気づきを得ることがあります。
採用の空気感、お客様の価値観の変化、
業界の流れ、自社の立ち位置。
こういうものは、外に出ないと分からないことが多いです。
しかも、情報収集は 暇なときにやるものではない と思っています。
むしろ忙しいときほど、外の情報を取りにいかないと会社は鈍くなります。
だから社長の経費は、単なる消費ではなく、
未来の判断精度を上げるための投資 だと考えています。

もちろん、浪費は論外です

ここを曖昧にすると、この話はかなり弱くなります。
なので、はっきり書きます。
趣味のゴルフばかりしている とか、
飲み歩いているだけ とか、そういう浪費はもちろん論外です。
それを「付き合いです」「情報収集です」と言い換えても、
本質は変わりません。
経費なら何でも正しいわけではありません。
大事なのは、金額の多い少ないではなく 質 です。
その支出は未来につながるのか。
経営判断の質を上げるのか。
会社の可能性を広げるのか。
少なくとも、自分の中で納得感があるのか
完璧に説明できなくてもいい。
でも、何となくで使うのは違う。
この緊張感は必要だと思っています。

還元か経費か、ではなく本当は両方必要です

この話は、社長の経費を正当化したいわけではありません。
むしろ僕が言いたいのは、
従業員への還元も、社長の先行投資も、どちらも必要だということです。

従業員にきちんと還元する。
働きやすい環境を整える。
成長の機会をつくる。
これは絶対に大事です。

ただ、社長の経費を削ればそのまま社員に回せる というほど、
経営は単純ではありません。
もしその経費が未来の売上や利益を生む種だったとしたら、
それを止めることで 将来の還元余力まで削 ことになります。
だから本来は、対立の話ではないんです。
どちらかを削る話ではなく、
両方を成立させる経営をどう作るか の話だと思っています。

結局、必要なのは利益です

ここが結論です。
社長が必要な経費を使うこと も、
従業員にしっかり還元すること も、
両方やるには利益が必要です。
しかも、少し黒字という程度では足りないことが多い。
ある程度、しっかり利益を出す力が必要です。
ただし、これは 単なる値上げの話ではありません

価値を上げること。
選ばれる理由を磨くこと。
提供の仕方を見直すこと。
無駄を減らしながら、利益が残る構造をつくること。

そこをずっと模索し続けるしかないと思っています。
利益というと、ただ会社が儲かるだけに聞こえるかもしれません。
でも僕は、利益は、社員を守り、投資を続けるための土台
だと思っています。
同時に、社員を守るためのバッファ でもあります。
だから利益は、社長のためだけではなく、
会社全体の未来のために必要なものです。

本当に考えるべきは、利益をどう作るか

給与は、貢献に対する対価。
社長の経費は、未来を取りにいくための戦略費
この2つは、似ているようで役割が違います。
もちろん浪費は論外です。
でも、必要な経費まで悪者にしてしまうと、
会社は静かに弱くなります。
だから僕は、還元したいからこそ、
社長は使うべき経費があると思っています。
その上で、還元も投資も続けられるように、
もっと利益を出せる会社をつくる。
簡単ではないですが、
経営者が本当に向き合うべきなのは、多分そこだと考えています。

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