
こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
値上げの話って、だいたい空気が重くなります。
「お客様に申し訳ない」
「まだそこまでの価値を出せてないかも」
この気持ち、すごく分かります。
でも先に言い切ります。
インフレが進む今、
値上げを避け続けるのは優しさではありません。
経営の設計ミスです。
コストが上がっているのに価格を据え置くのは、
こちらが勝手に値下げしているのと同じ。
頑張って吸収するのは美談じゃなく、
利益を削って会社の体力を削るだけです。
値上げできない会社に共通する「3つの設計ミス」
値上げが怖いのは気持ちの問題に見えます。
でも実際は、ほぼ構造の問題です。
よくある設計ミスはこの3つ。
まず、値上げの基準がない。
毎回「今回はどうしよう…」と悩む。
悩むほど先延ばしになる。
結局、決められない。
値上げがイベントになって消耗します。
次に、売り物が説明できる形になっていない。
ここでよく出てくるのが「一式」です。
一式は便利なんですが、
値上げの時に一気に怖くなる。
お客様側の心理として、
何に対してお金を払っているか分からないから、
上げられた瞬間に損をした気分になるんですよね。
「納得できるコスト」と
「付加価値の対価」に分ける。
これが第一歩です。
最後に、安さが入口になっている。
安いこと自体が悪いわけじゃない。
ただ、入口が安さになると
「価格で選ぶ層」が増える。
価格で来る人は、価格で去る。
これは性格の問題じゃなくて、構造です。
「安さ」で戦っていた時期がある
開業当初、僕は正直「安さ」も売りにしていました。
単価が低くても、クラウド会計を前提に
オンライン完結で効率化すれば、
単価が低くても高利益率は作れる
と考えていたからです。
でも、問題点も見えてきました。
単価が低いと、
安さだけで来るお客様が増えやすい。
そのお客様が悪いわけじゃない。
ただ、その考えで来る以上、
他で安いところがあれば移る可能性は高い。
さらにきついのが、
想定より工数がかかるケースです。
工数がブレた時にこちらが吸収できなくなると、
利益だけじゃなく、
対応品質の維持も難しくなる。
低単価設計の怖さはここでした。
インフレで「吸収モデル」は壊れる
今は、努力で吸収できる域を超えやすいです。
ソフト代、人件費、家賃。全部が上がる。
最低賃金も、
ここ数年は毎年しっかり上がっています。
全国加重平均で見ると、
2023年度は +43円(約+4.5%)1,004円
2024年度は +51円(約+5.1%)1,055円
2025年度は +66円(+6.3%)1,121円
人件費は「上がる前提」になってきてる、
ということです。
ここで一つ、経営の算数の話をします。
売上100で利益10(利益率10%)の会社は、
コストが90です。
ここにコストが5増えると(90→95)、
利益は 10→5。半分になります。
当たり前のことだけど、これが意外に理解できていない。
インフレで本当に怖いのは、この“直撃”なんです。
だから経営的にはどう考えても、
利益率は高い方がいい。
利益率が高いからメンバーに還元できるし、
採用・教育にも投資できる。
結果としてサービスの品質が安定して、
お客様への価値が上がる。
ここは綺麗事じゃなく、構造の話です。
サービス業は値上げが難しい。それでも上げていい
サービス業って、モノじゃない。
サービス内容が変わらない限り、
値上げは難しかったりする。
うちも値上げは難しかった。
正直、設計はまだうまくできていません。
ただ一つ言えるのは、
安さの罠から抜け出したことで、
お客様一人ひとりに向き合う余裕が生まれた
というのは事実です。
結果としてサービス品質は上がる。
だから僕はこう思っています。
今の時代に価値あるサービスができているなら、
自信を持って値上げしていい。
極論、相手がOKなら成り立つ。
価格に正解はなく、
あるのは提供側と受け手の合意だけです。
値上げを「気合」から「合意できる設計」に変える
値上げを通すために必要なのは、
口の上手さじゃありません。
必要なのは、合意できる設計です。
たとえば、
値上げをイベントにしないためのルールを先に決める。
年1回は見直す。
一定のコスト上昇があれば見直す。
新規から反映して既存は段階的に移行する。
こういう仕組みがあるだけで、
社長の迷いは減ります。
そして「一式」をやめて、メニューを分ける。
ベース(納得のコスト)と、
オプション(付加価値の対価)に分ける。
うちも、オンライン税務顧問という
手続きに特化したサービスだけだと
単価の上昇に限界を感じたので、
社外CFOという付加価値のある
サービスを始めました。
YouTubeやHPなどの発信も含めて、
値上げのための小手先ではなく、
価値が伝わる土俵を作るための設計
だと思っています。
優しさじゃなく、設計で続ける
値上げが怖いのは自然です。
でも、怖さを消す方法は気合じゃなく設計です。
基準を決める。
「一式」を解体する。
安さの入口から抜ける。
価値があるなら、堂々と提示していい。
相手がOKなら、それが価格です。
合わない人に無理に合わせるより、
合う人にちゃんと届く形にした方が、
長期的にはお互い幸せになります。
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