こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
「創業融資って難しいんですよね?」
「制度が変わっても、結局どうせ通らないんですよね?」
そんな声を、本当によく聞きます。
でも僕は、創業を考えている方に必ずこう伝えています。
「創業融資は“借りるため”ではなく、
“強い経営の準備”のために使うべきです。」
これは多くの創業支援に関わる中で、何度も実感してきたことです。
今日は、公庫の創業融資がどう変わったのか、
そしてなぜ“起業するなら必ず活用すべき”と言い切れるのかを、
実務とリアルな経験を交えてお話しします。
公庫は“創業者のため”に存在する金融機関
日本政策金融公庫は、普通の銀行のように
「口座を作る場所」ではありません。
政府系の金融機関であり、その目的は
創業者や中小企業を支援すること です。
事業を始めたばかりで実績がゼロでも話を聞いてくれる。
これは、一般の銀行にはない大きな特徴です。
創業時に最も相談されやすい理由が、ここにあります。
創業者にとって“追い風”が吹いた
2024年4月、公庫の創業融資制度が大きく変わりました。
- 自己資金1/10ルールの撤廃
- 融資枠が3000万 → 最大7200万へ拡大
- 運転資金の返済期間が7年 → 10年へ延長
数字だけ見ると、「通りやすくなった」と感じるかもしれません。
でも、ここで誤解が生まれます。
制度が緩くなっても、審査の本質は変わっていない。
ここを理解しないと、準備不足のまま挑んでしまい、
落ちる人が増えてしまうのです。
落ちる人と通る人。その差は“準備の質”
公庫の審査は、次の4つの視点で行われます。
- 計画性
- 実績
- 自己資金
- 信用情報
これは単なる融資のチェック項目ではなく、
事業を継続するうえで欠かせない4つの力 でもあります。
ひとつずつ、僕が実際に見てきた現場感を交えて説明します。
① 計画性(未来を見る力)
事業計画書は、ただ書けばいいものではありません。
市場調査、集客の動線、オペレーション、人員配置、利益計画。
これらが机上の空論ではなく、
実行レベルで組まれているか が問われます。
実際、ある飲食店の相談では、起業経験がなく、
設備投資も大きくて「本当に大丈夫かな?」
と僕も不安を感じたケースがありました。
しかしその方は、
- 開業エリアの動線分析
- ピークタイムのオペレーション設計
- 集客とメニュー構成の整合性
- 人員配置のシミュレーション
などを徹底的に詰めていました。
結果は、行列が一過性で終わらず、数年成長し続ける店に。
この経験からも分かるように、
計画性は実績を補完する力を持っているということです。
計画の質は、融資審査だけでなく事業の未来を左右します。
② 実績(過去の積み上げ)
実績は、創業融資において最も分かりやすい信用です。
とくに「同業での経験」がある場合、審査では強力にプラスに働きます。
とはいえ、実績というのは“年数”だけではありません。
- これまでどんな働き方をしてきたか
- どんな役割を担ってきたか
- どんなスキルが事業に生かせるか
- 数字やマネジメントに触れてきた経験があるか
こうした「蓄積」も大きな信用になります。
逆にまったく未経験で挑む場合は、
計画性の高さや、自己資金の積み上げで補う必要がある のが現実です。
実績が弱い場合、
-
- 小さく始めて先に実績を作る
- 副業として始め、まずは数字を出す
- 市場調査やテストマーケティングで根拠を作る
などの方法もあります。
実績は「あるかないか」ではなく、
どう補強していくかが勝負になります。
③ 自己資金(現在の状態)
制度上は、自己資金要件が撤廃されました。
しかし、ここがとても重要です。
実際には、自己資金ゼロで通るケースはほぼありません。
なぜか?
それは、公庫が「お金を持っている人を優遇している」わけではなく、
計画的に準備してきた人なのかを見ているから。
コツコツと積み上げてきた通帳履歴は、強い信用になります。
逆に、直前にまとまったお金が入っても信用されません。
制度は変わっても、
「継続する力を持つ人に貸す」
この本質は変わっていない。
ここを理解しているかどうかが、大きな分かれ目です。
④ 信用情報(これまでのお金の扱い方)
スマホの割賦遅れ、クレジットカードの遅延、税金の未納。
これらはすべて確認されます。
単なる数字の問題ではなく、「お金をどう扱う人なのか」
という姿勢が見られています。
状況を正直に伝え、改善策を示すことがとても大切です。
実績と自己資金は“後から作れる”
ここまで読んで、
「自分は未経験だし、自己資金も少ない…」
と不安になった方もいるかもしれません。
大丈夫です。
信用情報は変えられない部分もありますが、
実績と自己資金は“これからの行動で強化できる”部分です。
1年準備すれば、融資の可能性は大きく変わります。
そしてその1年は、確実にあなたの経営を強くします。
創業融資の本当の価値は、「借りる準備」にある
創業融資は、借りること自体が目的ではありません。
- 資金繰りの余裕が、挑戦の幅を広げる
- 計画を作ることで事業の勝ち筋が見える
- 数字で経営を捉える習慣が身につく
- 起業の成功確率が上がる
創業融資の準備そのものが、
事業の土台をつくるプロセス なんです。
だから僕は、創業を考えている方には必ず伝えています。
「起業するなら、公庫の創業融資は必ず活用すべきです。」
制度が追い風の今だからこそ、正しく準備して挑んでみてください。
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