
こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。
「そろそろ法人化した方がいいですか?」
この相談、本当に多いです。
しかし、ネットには
「年収○○万円で即法人化!」
といった極端な意見が溢れています。
その結果、
“節税のため”という浅い理由で法人化して、
固定費の増加で苦しくなる人
をこれまで何度も見てきました。
一度法人にすると、簡単には個人に戻せません。
(解散や清算などの手続きが必要で、想像より大変です)
だからこそ今日は、
数字・実務・現実を全部まとめて整理していきます。
法人化とは「もう一人の自分をつくる」行為
法人をつくるというのは、
法律上 “もう一人の自分” を
誕生させるようなものです。
責任の範囲、お金の扱い、
社会的立ち位置まで、個人とはまったく違います。
最近は
「節税できるらしい」
「法人の方がカッコいい」
といった理由で安易に法人化するケースも
ありますが、後から負担が増えて後悔するパターンが本当に多いです。
判断の第一歩は「税率」
個人の税率は、所得税と住民税を合わせて 15〜55% の累進課税です。
利益が増えるほど税率は上がります。
一方で法人税はおおむね 30%前後。
どこかで逆転するのですが、その目安がこちら。
課税所得900万円を超えると法人化が有利になりやすい
ここでよくある誤解があります。
【補足】“課税所得900万円”は「年収900万円」ではありません
課税所得=売上(収入)− 経費 − 各種控除(基礎控除・扶養控除など)
つまり、課税所得900万円ということは、
実際の収入はもっと高いケースが
多いということです。
節税だけでは判断できない「消費税」
法人化すると、消費税の2年間免税 が再び使えます。
年商が伸びてきている事業者にとっては、
かなり大きな効果があります。
ではインボイス制度後はどうなるのか?
・インボイス登録すると免税が使えない
・しかし 最初は登録しなければ、今でも2年間免税は使える
つまり、
「インボイス登録のタイミング × 法人化のタイミング」
ここをセットで考える必要があります。
法人化のメリット
① 社会的信用が上がる(採用にも効果的)
法人は登記されており、会社情報が公に
公開されています。
これにより取引や融資での信用が
高まるだけでなく、
採用でも強い武器 になります。
求職者にとって「法人=組織として整っている」
という印象につながり、
応募のハードルが下がります。
② 経費として認められる範囲が広い
車・交際費・保険など、個人より経費の
考え方は広いです。
社宅や旅費規程等、法人ならではの
経費もあります。
③ 消費税の2年間免税が復活する
設立後最大で2年間、消費税免税事業者と
なることができます。
売上規模が大きい人ほど恩恵が大きいです。
④ 赤字を10年間繰り越せる
個人の3年より圧倒的に有利です。
法人化のデメリット
① 社会保険料の負担が重い(ただし採用には有利)
法人は社会保険への加入が必要で、
会社負担+個人負担 の両方が発生します。
これが固定費の中でも最も重い部分で、
法人化で資金繰りが悪化する原因に
なりやすいです。
ただ、社会保険完備は採用では大きなプラス。
個人事業でも従業員を社保加入させられますが、
法人の方が安心感は強いです。
② 設立費用(10〜30万円)が必要
専門家に依頼して設立する場合は、
合同会社なら15万円くらい、
株式会社なら30万円くらいの
設立費用が必要になります。
③ 赤字でも「均等割」の税金がかかる
地域によって多少異なりますが、
均等割りは約7万円です。
④ 事務負担・専門家費用が増える
法人税申告は複雑で、自力でやるのは
ほぼ不可能です。
さらにもうひとつ大切な点。
法人→個人は “戻れるが簡単ではない”
解散・清算・借入の扱いなど、
想像以上に手続きが多いです。
「ダメなら戻せばいい」は基本的に通用しません。
よくある落とし穴:「900万円超えたら即法人化」
数字だけで判断すると、
・翌年の利益が落ちた
・固定費が重くなった
・資金繰りが悪化した
こうした失敗は実際によくあります。
大事なのは、
“単年”ではなく“複数年の安定”
個人事業は波が大きく、
法人は固定費が重いという構造があります。
そこで重要になるのが、
再現性のある利益構造かどうか
そして、
法人化した場合のシミュレーションを
専門家にしてもらうこと
判断の精度が一気に上がります。
法人化が向いているケース
・課税所得900万円前後が2〜3年安定
・法人格が求められる取引が増えている
・採用を強化したい
・事業を拡大していきたい
・消費税の免税を戦略的に活用したい
まだ急がなくていいケース
・収入の変動が激しい
・自由度を優先したい
・マイクロ法人など別の手段で十分対応できる
法人化は“節税”ではなく“事業戦略”
法人化は、未来の伸びしろを広げる
“器づくり”です。
節税は副産物であり、
経営戦略の一部にすぎません。
焦りは禁物です。
「この所得で法人化すると、どれくらい手元に残るのか?」
それは、長期シミュレーションをしないと
見えてきません。
事業の土台を守るためにも、
数字と計画を一度整理してみてください。
専門家と一緒に考えることで、
法人化の成功率は大きく高まります。
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