小規模企業共済は“節税だけ”じゃない


こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

経営者の方と話していると、
「節税したいけど、手元の資金は減らしたくない」
という悩みをよく聞きます。

この気持ちはよく分かっていて、
どれだけ事業が順調でも、お金が減っていく感覚は
精神的にしんどいものです。

そんな中でよく相談されるのが 小規模企業共済
ただ、“節税対策”としてしか認識されていない方が本当に多い。
今日は、この制度を経営者目線で「正しく理解する」ためのポイントをまとめました。

小規模企業共済とは?

経営者・役員・フリーランスのための
税制優遇つきの退職金積立制度です。

個人事業主と法人の役員が加入することのできる共済です。
加入要件はシンプルで、業種に応じて
従業員5人以下または20人以下なら加入できます。
加入時点で条件を満たしていれば、
その後規模が大きくなっても継続できます。

掛金は月1,000円〜7万円まで自由に設定でき、
必要に応じて途中で増減もできます。
また、手元資金に余裕がある年は、掛金の1年分をまとめて支払う
「前納制度」も利用できます。

申し込みは、銀行などの金融機関が窓口になっているケースが多く
その場で必要書類の提出と手続きができます。
また、公式HPからオンラインで申し込むことも可能です。

この制度を運営しているのは、
独立行政法人 中小企業基盤整備機構(いわゆる「中小機構」)です。
中小企業の経営や活動を支援するためにつくられた国の機関で、
中小事業者向けの制度を総合的に扱っています。
(特に難しく考える必要はなく、
国が用意している安心感のある制度だと捉えればOKです)

所得控除になるとはどういう意味か?

小規模企業共済の掛金はすべて「所得控除」になります。

所得控除とは、
所得税や住民税の計算のもとになる課税所得から、
一定の金額を差し引ける仕組みのことです。

税金は
課税所得 × 税率
で決まります。

たとえば、課税所得が1,000万円の方が年84万円かけた場合、
控除により課税所得が916万円となり、
その差額84万円に対して税率を掛けます。

所得税20%+住民税10%+復興税等で合計約43.7%とすると、

84万円 × 43.7% = 36万7,000円

これが節税額です。

仕組みはシンプルですが、効果は非常に大きい制度です。

20年積み立てるとどうなるか?

年84万円を20年間続けると、

36.7万円 × 20年 = 約734万円の節税

という、かなり大きな効果になります。

積立をしながら税金だけ減るというのは、やはり強力です。

また、課税所得500万円の方でも、
年84万円の掛金で年間約25万円の節税 になります。
20年間続ければ、

25万円 × 20年 = 約500万円の節税

収入帯に関係なく、長期視点で確実にメリットが積み上がる制度です。

貸付制度は“選択肢のひとつ”として知っておく

小規模企業共済には、積立金の7〜9割を
年1.5%ほどの利率で借りられる貸付制度があります。

これは、「借りるべき」という話ではありません。
ただ、制度としてこうした選択肢があること自体が、
経営者にとって安心材料になります。

特に、事業が傾いて生活が難しくなった時でも、
積立金の範囲内で借りられる仕組みは、精神的な支えになります。

10年積み立てた時のインパクト(制度理解のための事例)

月7万円を10年間続けると、積立金は 840万円 になります。
その80%である 672万円 を、年1.5%で調達できます。

制度の構造を理解しやすくするための例として、

・672万円を年1.5%で借りる → 年間の利息は約10万円
・仮に5〜6%で安全に運用できれば
金利差で 年間20〜30万円ほどプラス

もちろん、運用を推奨するものではありません。
制度としてこういう仕組みになっている、と理解するための事例です。

受取り時はどうなる?(退職所得の優遇)

事業を辞めたとき、積み立てたお金は退職金として戻ります。

この「退職所得」は非常に優遇された区分で、
退職所得控除+1/2課税という仕組みがあります。

例えば、20年在籍して退職金を1,500万円受け取っても、
実際に課税されるのは約350万円程度に圧縮されます。

また、一括受取だけでなく、年金形式で受け取る方法も選べます。
将来の生活設計に合わせて柔軟に選択できるのも強みです。

注意点:20年未満の任意解約は避ける

任意解約を20年未満で行うと元本割れします。

ただし、掛金は最低1,000円まで下げられますし、
事業を続けている限りは解約しない前提で問題ありません。

そして重要なのは、
事業をやめるほど生活が厳しい状態になった場合は、
解約しても目減りしないという点です。

この場合は任意解約ではなく「事業廃止扱い」になるため、
積み立てた金額がそのまま戻ります。

まとめ

小規模企業共済は、

・節税しながら退職金を準備できる
・資金調達の選択肢が増える
・受取時の税制が非常に優遇
・長期で見るほどメリットが蓄積する
・そして 事業を続ける限りデメリットがほぼ存在しない制度

という、経営者にとって実用性の高い仕組みです。

派手ではありませんが、
正しく理解している人だけがしっかり恩恵を受けられます。
まだ加入していない方や、節税目的だけで止まっていた方は、
この機会に見直してみてください。

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