税理士が社労士の業務をしたら逮捕?“独占業務”から見える資格の本当の価値


こんにちは、しんこう会計事務所の新美です。

「そんなことで逮捕されるの?」
このニュースを見て、
そう思った方は多いかもしれません。

先日、ある税理士が
“社労士の独占業務” を有償で行い、
逮捕されたというニュースがありました。
内容は、顧問先の社会保険の手続きを
代行したというものです。

「労務手続きくらい、税理士がやってもいいんじゃないの?」
そう思う人も多いかもしれません。

でも実はこれ、
資格の世界では “やってはいけない線” 
越えた行為なのです。

今日は、この「独占業務」とい
う少し堅いテーマを、できるだけやさしく、
そして、“なぜそんなルールがあるのか” という
本質から考えてみたいと思います。

「独占業務」ってそもそも何?

難しく聞こえますが、要するに
「資格を持っている人しかできない仕事」
のことです。

医師が手術をするように、
弁護士が法廷で弁護するように、
税理士や社労士にも、
それぞれ「ここから先は資格者だけ」
という範囲があります。

これは“仕事を独り占めしたい”ためではなく、
責任をもってその分野を守るため
に設けられている線なのです。

無償独占と有償独占の違い

「独占業務」には、実は2種類あります。

有償独占
お金をもらってやる場合に限り、
資格者でなければできない。
(→ 社労士の「社会保険・労働保険の代理申請手続き」など)

無償独占
お金をもらわなくても、
資格者以外はやってはいけない。
(→ 税理士の「税務相談」などが該当)

つまり「無料で見てあげるだけだからOK」
は通用しません。
一見ただの“親切”でも、
法律上は専門資格が必要な領域なんです。

たとえば、友人に
「この経費は落ちないよ」
「こうすれば節税できるよ」とアドバイスするのも、
法的には「税務相談」にあたり、
無資格の税務業務となる可能性があります。

例えるなら、
「手術の練習だから無料でやります」と言っても、
医師免許がなければ違法なのと同じなのです。

なぜ“独占”にしているのか

独占という言葉には“守られている”
イメージがありますが、
本来は「責任の所在を明確にするため」
のルールです。

税理士が作成した申告書に誤りがあれば、
税理士が責任を負う。
社労士が提出した社会保険の届出にミスがあれば、社労士が責任を負う。

資格のない人が業として行うことは、
「責任を負わずに専門領域に踏み込む」ことになってしまいます。

資格とは、できる権利ではなく
「責任を引き受ける覚悟の証」なのです。
これは、お客様を守るための
最も重要な線引きでもあります。

独占の外側にこそ、これからの価値がある

一方で、税理士の独占業務である
「申告書の作成」自体は、
今やAIやクラウド会計が大部分を
サポートできる時代になりました。

だからこそ、これから税理士に求められるのは、
「数字をどう経営に活かすか」という視点です。

具体的には、
未来の数字をつくる「未来会計や事業計画の策定」
資金繰り・投資判断を支援する「財務分析」
経営者と共に戦略を立てる「社外CFOの役割」

こうした領域は“独占業務ではない”けれど、
まさにAIには代替できない、
「信頼」と「判断」の仕事なのです。

資格は「守るため」ではなく「信頼を得るため」にある

独占業務は、資格者を縛るルールではなく、
信頼を守る仕組みです。
だからこそ——

「資格=守られた仕事」という時代は終わりました。

税理士も社労士も、
枠の中にとどまるためではなく、
枠の外でも信頼される存在であるために
学び続ける必要があります。

有償独占・無償独占というルールの奥にあるのは、
“責任と信頼” という専門家の原点です。

その信頼をどう活かして
新しい価値をつくるか——
それこそが、資格者に求められる
“次の時代の覚悟” だと思います。

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